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社会

“過保護”が原因で体重20kgにまで激減…娘を追い詰めた「母親の支配欲」

片田珠美(精神科医)

2019年07月19日 公開 2024年12月16日 更新

<<絶えず報道される子どもへの虐待やネグレクトなどのニュース。実際に傷つけるだけではなく、子どもを精神的に追い込んでしまう親は確実に存在する。

子どもの気持ちよりも世間体や見栄を優先する。罵倒する。子どもの領域を侵害する。しつけと称して暴力をふるう…。子どもたちは追い込まれていく。このようにして育った子どもたちは…?

もっとも、当事者の親は「自分は正しいことをしている」と思い込んで疑わない。さらに言えば、誰もが知らず知らずのうちに子どもを傷つける親になってしまう可能性は否定できない。

精神科医の片田珠美氏の著書『子どもを攻撃せずにはいられない親』では、自身が子どもを傷つける親にならないためにはどうすればいいのかについて、片田氏自身の経験も交えつつ、「子どもを支配しようとする親」の実例を挙げ、その心理を解説している。本稿では、同書よりその一節を公開する。

※本稿は片田珠美著『子どもを攻撃せずにはいられない親』(PHP新書)より一部抜粋・編集したものです

 

娘の学校に電話で怒鳴り込む

子どもを支配しようとする親は、何にでも干渉し、細かく指示する。自分の思い通りに子どもをコントロールしていないと気がすまないからだ。こういう親にとっては、常に自分の言うことを聞く子どもが"いい子"である。

逆に、言うことを聞かない子どもは"悪い子"であり、そういう"悪い子"に対しては、「言うことを聞かないのなら、……」という言い方で脅おどす。この「……」の部分は、「おやつをあげない」「何も買ってあげない」「どこにも連れて行かない」などさまざまだ。

たとえば、摂食障害で通院している20代の女性は、子どもの頃から母親の過保護・過干渉にどれだけ悩まされてきたかを話してくれた。

「母は、几帳面で完璧主義で、いつも家の中をピカピカに掃除していました。『冷凍食品やレトルト食品を食卓に並べるのは子どもがかわいそう』というのが口癖で、三度の食事はもちろん、おやつやお弁当もすべて手づくりでした。手編みのセーターや手づくりの夏服も、よく着せられていました。

ですが、少しでも散らかしたり、服を汚したりすると、とたんに血相を変えて、『きれいに片づけなさい。お母さんの言う通りにしないのなら、家から追い出して施設に入れる』『服を汚さないで。言うことを聞かないのなら、もう服を買ってあげない』などと怒鳴るので、とても怖かったです。

しかも、私の友人関係にまで口を出すのです。友達を家に連れてくると決まって『お父さんは何をしておられるの?』と尋ね、大きな会社に勤めていたり、公務員だったりすると、母は気に入るようでした。

しかし、答えられないとか、お父さんがいないとかいう場合、『あの子とは遊んだらだめ』と言うのです。

一番びっくりしたのは、小学三年生に上がって始業式から帰ると、母が『○○ちゃんと同じクラスになった?』と尋ねたので、私が『別のクラス』と答えたときです。

すると、母は『前の担任の先生に、クラス替えがあったら○○ちゃんと同じクラスになるようにしてくださいとお願いしていたのに、聞いてくれなかったんだわ』と怒りだし、学校に電話をかけました。

私は、母を止めようとしましたが、母は私の言うことなど聞かず、一方的に文句を言って、電話をガチャリと切りました。

○○ちゃんのお父さんは、父が勤めていた会社の親会社の偉いさんだったようです。だから、母としては仲よくしてほしいと思ったのでしょう。

しかし、○○ちゃんは『あんたは下請けの会社の子』と言って、私を子分扱いしていたので、私はあまり好きではなく、別のクラスになって実はほっとしていたのです。

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母のプレッシャーから摂食障害に

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