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“廃墟の街”熱海が「奇跡の大復活」を遂げた理由

市来広一郎(いちき こういちろう:株式会社machimori代表取締役)

2019年07月17日 公開 2019年07月17日 更新

 

V字回復を可能にした2つの要因

――熱海は経済を急激に回復させ、「観光白書2017」でも「民間ベースでのUターンの若者による街づくり」で成功事例として紹介されるほど。V字回復の成功要因は何だったのでしょうか。

2011年頃からの下積みが奏功したのだと思いますが、成功要因は主に2つです。1つは民間主導で進めたこと。行政の取り組みは、性質上、年度ごとに見直される場合も少なくない。その点、民間の場合はビジネスとして持続可能なら、市の計画に左右されず継続・発展させることができます。

2つ目は、挑戦する人たちがつながりやすい環境をつくったことです。中心街、熱海銀座のビジョンとして掲げたのは、「クリエイティブな30代に選ばれる街をつくる」というもの。

自分たちの仕事をつくり上げようとする起業家や街をつくろうという意欲にあふれた人がチャレンジしやすい環境をつくれば、停滞した空気が変わっていく。30代前後を目安にすれば、他の世代にも良い影響を波及できると考えました。
 

――ターゲットを「クリエイティブな30代」と明確に打ち出したのですね。彼らを呼び込むために大事なことは何ですか。

UターンにせよIターンにせよ、ゼロから一人で新しいことをやるのは大変ですよね。そこで、新しいプレイヤー同士が交流し、各自のビジョンを共有できる場を設けました。つながりが増えれば心強いし、そこからコラボレーションも生まれていく。

V字回復が実現できたのは、熱海市職員の方々のバックアップのおかげでもあります。これまで熱海についてメディアに取り上げられるのは、主に花火大会や温泉でした。

ですが、もっと多様な切り口で個々の人やお店の活動がメディアで取り上げられるようにと、職員の方々がPR方法を一緒に考えてくれました。商店街の支援に補助金を出すといった形ではなく、熱海で頑張っている個々人にフォーカスして後押ししていったんです。

カギとなるのは「この街なら面白そうなことができそう」と思ってもらうこと。面白い人たちをとにかくつなげていくと、熱海は面白いという空気が広がり、街全体の魅力アップになる。それがまた新たに人を呼び寄せていきます。

2011年には熱海銀座通りにある30店舗中3分の1が空き店舗でしたが、今では空き店舗が残りあと2店舗というところにまで変化してきました。

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著者紹介

フライヤー(flier)

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