視界がボヤけるのは「老化」ではない! 医師が教える“目のストレッチ”
2019年08月22日 公開 2022年07月13日 更新
年齢を重ねて体に起こる異変。医師の平松類氏はそれは「老化」と呼びません。身体が「劣化」しているのではく、正常に「変化」しているのだと言います。
年齢が上がった分、能力や体力が落ちて「すべてのことが下降していく」という思い込みに対して、「年齢とともに、多くの能力は伸びているのに、ほとんどの人がそのことに気づいていない」と主張します。
そんな平松類氏の新著『老化って言うな!』では、「老化だから」とあきらめてしまう前に、身体の正常な変化であることを認識し、正しく対処することで気持ちよく生活する方法を教えています。
本稿では「目」の変化とその対策法について触れた一節を紹介します。
※本稿は平松類著『老化って言うな』(PHP研究所刊)より一部抜粋・編集したものです。
スマホを見続けたあと、目のピントが合わなくなってきた
スマホでニュースを読んだり、SNS をチェックして、「さて」と、顔を上げると周囲がボヤけて見える。そんな経験が続くと何だか憂うつな気分になります。特に疲れているときや、夕方だとピント合わせがうまくいかないことが増えてきた。
では見えないのか、というとそうでもなくて……。ちょっと待てば見えてくるのではないでしょうか。
理由はピントのメカニズムにあります。はっきり、くっきり見るためのピントは、目の玉にある水晶体というレンズ、毛様体筋という筋肉によってコントロールされています。
筋力があれば、瞬時にバチッと目的の距離にピントを合わせられますが、筋力が弱くなってくると、「この辺りかな……」と、様子をうかがいながらピントを合わせるようになってくるのです。
その結果、ちょっとぼやけながら、ゆらゆらと調整してからピントが合うことになります。
こういった症状が現われると、すぐに「老化だから……」と言いたくなりますが、実は中高年になったからではありません。
20代前半をピークとして、ピント調整の筋力は徐々に衰えてきている、つまり、長年の変化なのです。ただ20代の頃はピントの合わない時間が短いためにあまり気づかなかったのです。
ですから、少し時間が経ってピントが合ってくるなら、気にする必要はありません。感覚的には長く感じられるかもしれませんが、せいぜい数秒のレベルです。日常の生活に大きく影響しません。