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自覚しにくい目の病気を早期発見するには?

井上賢治(井上眼科病院院長)

2019年12月11日 公開 2023年09月05日 更新

ドライアイを放置すると危険!

深刻な病気ではなくても、目の健康を損なうトラブルはたくさんあります。代表的なのがドライアイで、昔に比べて非常に増えています。エアコンの普及により、空気が乾燥する場所で過ごすことが多くなったことや、パソコンやスマホの画面を長時間見続ける人が増えて、まばたきの回数が減っていることなどが主な原因です。

「目の乾きくらい大したことはないだろう」と思いがちですが、目を保護する油や水分が不足すると、眼球の表面に細かい傷がつきやすくなり、雑菌が入って角膜炎などを引き起こす原因になります。また、ドライアイによる目の違和感は自分が思っている以上にストレスになるので、パソコンに向かっていても仕事に集中できないといった悪影響を及ぼします。

ドライアイや眼精疲労などのトラブルを防ぐには、「パソコンを50分使ったら、10分休憩する」というように、目を休める時間を作ることが大切です。そして休憩中は、窓の外の景色など遠くを見ましょう。人間は近くを見るときに最も目の筋肉を使うので、遠くを見ることで目がリラックスできます。くれぐれも休憩中にスマホをいじったりしないこと。パソコンから目を離しても、結局手元を見続けていたら意味がありません。

 

目薬のさしすぎは逆に目の潤いを奪う!?

目の疲れを取るには、市販のホットアイマスクやホットタオルなどで目を温めるのも効果的。目の周りの血流が良くなり、筋肉の緊張がほぐれます。

疲れ目やドライアイ対策として目薬を使うときは、正しい用法・容量を守りましょう。たくさん点眼すれば目が潤うと思っている人も多いのですが、あまりに頻繁に目薬をさすと涙液が洗い流されてしまい、涙液に含まれるムチンなどの保護成分も失われてしまいます。

市販の目薬を買うときは、できるだけ防腐剤が入っていないものを選んでください。防腐剤入りの目薬を頻繁にさすと、目にアレルギー症状を引き起こすことがあります。またメントール入りの目薬は、さすとスッキリして爽快感が得られますが、それによって疲れ目やドライアイが改善するわけではありません。それぞれの製品には効能・効果が記載されているので、使用感だけではなく、「どんな症状に効くのか」をきちんと確認して選んでください。

日常生活では、目を紫外線から守ることも大事です。紫外線を大量に浴びると、目の細胞の老化が進み、白内障や加齢黄斑変性の原因になります。また目の病気は加齢が原因の一つになることが多いので、食生活でもビタミンA・Eなど抗酸化作用の高い栄養素を積極的に摂ると良いでしょう。

 

『THE21』2019年12月号より

著者紹介

井上賢治(いのうえ・けんじ)

医療法人社団済安堂理事長

井上眼科病院院長。千葉大学医学部、東京大学医学部大学院卒。眼科専門医。専門は緑内障。2002年より、井上眼科病院に勤務。2012年より現職。「患者さま第一主義」を掲げて、より多くの人が使いやすい施設作りに努める。ライフワークとしてユニバーサルデザイン普及に精力的に取り組む。著書に『視力0.1でも豊かな生活を送る目の健康を守る本』(幻冬舎)などがある。

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