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生き方

仕事ができない人ほど好きな「年賀状と新年会」

成毛眞(HONZ代表)

2020年01月07日 公開 2024年12月16日 更新

 

部下の結婚式や披露宴には行くな

私は、飲みニケーションに限らず、会社関係の付き合いは、とことん排除していた。

慶事ですら断っていたぐらいだ。部下の結婚式や披露宴に招かれることは何度もあったが、じつは一度も行ったことがない。

経営者という立場になると、一つ参列したらすべて出ないと不公平になるので、そもそも行かなかった。日本マイクロソフトは社員が3000人いたから、毎週結婚式、毎週仲人になりかねない。だから、すべて断っていた。おそらくほかの経営者もそうだと思う。

ただ私は、管理職や平社員時代から、結婚式や披露宴に出席していなかった。正直言って、参列したところで良いことは一つもないからだ。

本人たちがはしゃぐのは別に構わないが、2時間も3時間も見たくはない。参列者も、酒を飲んで学生時代の友人がバカ騒ぎするだけなので、面白い情報の交換なんてまずできない。

それに、私も酒が好きなので、飲み放題の酒があり、その場の祝賀ムードがあると、ついつい調子に乗って飲んでしまう。酒飲みとはそういうものだ。すると、その日一日が潰れてしまうし、ヘタすると、二日酔いで翌日まで響く。もちろん、そのときの会話など何も覚えていない。あまりに時間のムダだ。

若い頃なら、結婚相手を見つける目的もあるから、参列する価値はあるかもしれないが、既婚者が参列するのは、時間のムダ以外の何物でもない。

 

葬式だけは顔を出せ

結婚式や披露宴に出ないのは、そもそも、私は「式」と名が付くイベントが大嫌いだということがある。何が嫌かって、何もしないで、黙ってじっと座っているのがたまらなく苦痛なのだ。この忙しい時代に、1時間もボーッとしている時間がもったいない。

自分の子供の式ですら、行きたくないほどだ。小学生・中学生の入学式と卒業式は、写真ぐらい撮っておかないと体裁が悪いと思うので、仕方なく参加していたが、高校生以降は行っていない。

最近は、大学の入学式と卒業式、はたまた会社の入社式にまで参加する親がいるようだが、到底理解できない。東大や京大の学長のもっともらしい話を聞いて、「やっぱり最高学府は違うわねえ」と感心したところで、1週間もすれば何を話していたか一言一句覚えていないだろう。

成人式も、ヤンキーが暴れるのを見て不愉快な気持ちになるなら、初めから行かなければいいと思う。

ただ、そんな式嫌いの私でも、葬式だけは顔を出す。かつて仕事をしたことのある人や知り合いの経営者などが亡くなったときは、必ず行くようにしている。

これは少し打算的かもしれないが、葬式は結婚式と異なり、誰が来たか、喪主や参列者たちが覚えているからだ。また、焼香をしてから、精進落としの席で、久しぶりに会った経営者仲間と情報交換ができる。

葬式にだけは行けというのは、私の持論というより昔から言われていることだ。

「結婚式に行くバカ、葬式に行かぬバカ」という有名な言葉があり、経営者の多くはこの言葉を知っていて、実践している人も多い。経営者に限らず、ビジネスパーソンとしても人としても覚えておいて良い言葉だ。

年賀状も新年会もやめにして、葬式だけ顔を出す。仕事始めにそう決意することで、2020年を有意義に過ごせるはずである。

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