定年後では遅い!「今すぐ持ち家を手放すべき」決定的な事情
2019年09月20日 公開 2022年11月30日 更新
大多数の人にとって捨てにくいモノを手放すのは、リスクが大きいかもしれない。代表的なのが、持ち家や車だ。しかし、そうしたムダなモノや捨てていくと、じつは大きなリターンが得られる。とくに定年前後の読者にとっては、老後のお金は不安の種だろう。本稿では、成毛眞氏の新著『一秒で捨てろ!』 (PHPビジネス新書)より、切なモノを捨てて大金を得る方法を紹介する。
モノに「聖域」を設けない
モノを捨てることに関しては、すでにさまざまな"断捨離"本や片付け本が出ているが、おおむね共通しているのは、「本当に大切なモノだけ取っておいて、あとは捨てる」ということだろう。こんまりも、心がときめくモノだけを手元に置く必要性を説いている。
ここで注意したいのは、固定観念にとらわれることなく、フラットな視点で、「大切なモノ」を見極めることだ。「これは大事に決まっている」と"聖域"をつくってしまうと、とっとと捨てたほうが良いモノを見逃してしまう。
結果、「これも大事、あれも必要」と、ガラクタばかりが手元に残り、一向にモノの整理が進まないといったことは、誰しも経験しているはずだ。
そこで、考え方を改めよう。
大多数の人が「絶対に捨てない」と思っているモノのなかにも、意外と手放すべきモノがある。それを見極めれば良いのだ。
世の中には、一見、大切そうに見えて、人生の足を引っ張るモノがある。モノだけではなく、習慣に関しても同じだ。そんなモノに人生を左右されるのはなんともバカらしいではないか。
広いだけの家は「宝の持ち腐れ」
真っ先に捨てることを検討すべきなのは、「持ち家」だ。
一軒家を持っている定年前の夫婦はとくに、たとえ住宅ローンを支払い終わっていたとしても、売り払うことを考えたほうがいい。
そう言われると、「冗談じゃない」と反論する人もいるだろう。老後を安心して過ごすために家を買い、30年近くかけてようやく住宅ローンも払い終わるのに、なんで手放さなくてならないのだ、というわけだ。
皆さんの多くも、そんなシチュエーションにいたら、「一生この家に住み続ける」と意固地になるに違いない。しかし、定年を迎える前に、その考えを改めたほうが良いと私は思う。
なぜなら、定年前には住みやすかった家が、定年後になると「住みにくく売れない家」に変わる可能性はかなり高いからだ。
もうすぐ定年を迎える世代は、バブルがはじける前の80年代後半に家を買った人が多いのではないだろうか。この頃は、都心の不動産価格が急騰していたので、サラリーマンが、子供とワイワイ住める3LDKや4LDKのマイホームを手に入れるには、郊外の住宅地やニュータウンを狙うしかなかった。だから、駅から徒歩20分とか、バスで10分といった場所に家を買うことは、よくあることだった。
子供が小さくて、自分が元気なうちは、それで良かったかもしれない。やがて子供が親元を巣立っていき、自分も老いを感じるようになると、それまで住んでいた家の弱点が気になり始める。
まず、子供が駆け回れる家の広さは、負担でしかなくなる。ご存じのとおり、部屋は誰も使っていなくてもホコリがたまり、汚れるものだ。いくつもの部屋を掃除するのは高齢者にとっては骨が折れる作業である。階段を上り下りするのも辛い。
このように、ただ広いだけの家は、「宝の持ち腐れ」になるどころか、ゴミ屋敷に変貌するだけになる。