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痛恨!「高値づかみ」の企業買収…プロはいかにして短期間で価値を取り戻すか?

小早川鳳明(企業再建プロフェッショナル)

2020年02月07日 公開 2024年12月16日 更新

グローバルM&Aにも多く携わり、経営再建のプロフェショナルとして活躍する小早川鳳明氏。新著『日本人が知らないプロリーダー論』では、海外企業に買収された日本の大手メーカーが、新しく就任した外国人経営者によって立て直されていく過程が描かれています。

M&Aが近年急速に増加するなかで、ニーズが高まっているM&A直後に実施されるPost Merger Integration(PMI)と呼ばれる活動において、経営再建のプロはどのような活動を行っているのかを小早川氏に解説してもらいます。

※本稿は小早川鳳明著『ハーバード・MIT・海外トップMBA出身者が実践する 日本人が知らないプロリーダー論』(PHP研究所刊)より一部抜粋・編集したものです。

 

会社の今後の方向性を決めてしまうM&A直後の100日間

様々な経営再建の中でも、特に難易度が高い再建はM&A直後の再建することです。業績が悪いために買収され、従業員のモチベーションも下がっている状況から再建を進めていく必要があるためです。

その中でも特に、M&A直後の100日間は、買収された会社にとって最も負荷がかかる瞬間であり、将来の経営の方向性を決めてしまうとても重要な期間となります。

このようなM&Aの直後に行われる経営改革活動はPMI(Post Merger Integration買収後統合活動)と呼ばれ、経営者や部門長、PMIに精通した専門家が一体となって取り組みます。

 

高値買収してしまった会社の企業価値を向上させる『PMI』

近年では、M&Aにおける買収価格が高騰し、高値で企業買収が行われるケースが増えています。被買収会社(買収された会社)の年間営業利益の10倍以上の金額で取引されることがほとんどです。

仮に、被買収会社の営業利益が10億円であればその会社の買収価格は100億円以上という計算となります。

すなわち、その会社を買い取った企業は、その会社の現状の収益性を維持したまま10年以上を経てようやく買収価格を回収できるという計算になります。高値買収だからこそ早期に事業成長へ導かないと大金が水の泡となってしまうのです。

このように、近年は買収価格が高額であるため、M&A後に一刻も早く買収された会社の業績改善を行い、利益の拡大を図る必要性が高まりました。そのため、PMIという考え方が注目されるようになってきたのです。

PMIの専門家が、M&A後の企業価値向上活動として、どのような活動を行うのかを紹介しましょう。

M&Aで買収された会社に対して、大きく2つのテーマで改革を実行します。一つは「①管理基盤を整える」、もう一つは「②事業の改善」です。

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