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痛恨!「高値づかみ」の企業買収…プロはいかにして短期間で価値を取り戻すか?

小早川鳳明(企業再建プロフェッショナル)

2020年02月07日 公開

 

高値買収してしまった会社の企業価値を向上させる『PMI』

「① 管理基盤を整える」というテーマの最も大きな目的は、新しい親会社が、買収された会社を管理しやすくすることです。管理をしやすくするための観点として、"情報共有機能"、"決裁権限"、"部門構成"が存在します。

"情報共有機能"という観点では、買収された会社に新しい親会社の経営管理の方法やルールに則った会社経営を導入させます。

親子会社という新しい関係性のなかで、親会社の経営トップがスムーズに買収された会社の経営状況を把握し、必要な判断をできるよう、経営財務情報報告させる頻度、定義、ルートを定めます。

"決裁権限"という観点では、買収された会社の最高意思決定権を新しい親会社に変更します。そのため、買収された会社の決裁権限の見直しを行い、社長、取締役会、部門長の権限の一部を縮小させます。

"会社の部門構成"という観点では、被買収会社の組織体制や業務分掌を新しい親会社と類似の体制になるよう変更させます。新しい親会社と買収された会社で、組織構造が大きく異なると、親会社の各部署の担当者の人間が、買収された会社を適切に管理しにくいためです。

例えば、新しい親会社では調達部門が材料の受発注管理業務を行っていても、買収された会社では物流部門が受発注業務を行っていた場合は、親会社の調達部門の担当者は、買収された会社の調達部門だけではなく物流部門とも連絡をとる必要が出てきてしまいます。

新親会社、買収された会社の組織体制や業務分掌のズレは、新親会社による子会社の管理を煩雑にしてしまいます。このような混乱を避けるために、親会社の組織体制と買収された会社の組織体制が同じ構造となるように変更をしていく必要があるのです。

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親会社と買収された会社の「目線」を合わせる

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