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"ミスを言い出せない職場"の元凶は? Google社も注目の「心理的安全性」がチームを変える

窪田晃和(ザ・アカデミージャパン エグゼクティブ・トレーナー)

2020年02月28日 公開 2020年02月28日 更新

ハーバードビジネススクールのエイミー・C・エドモンドソン教授によって提唱された「心理的安全性」という概念は、人材・組織領域で、今もっとも注目されているトピックといえるでしょう。

組織におけるチームのメンバー一人ひとりが心理的安全な状態にあることで、個人が持つ本来の力をいかんなく発揮できるようになり、生産性の高いチームが組織される。それゆえ、この心理的安全性がチームの成功にとって最も重要な要素なのだと、米Google社は定義づけています。

注目を集める心理的安全性ではありますが、多くの日本企業では残念なことに、その名前からただニュアンスだけをとらえ解釈をしている、つまり勘違いをしている方が多いように感じます。

そこで今回は、その点について少しお話ししていきたいと思います。

 

「心理的安全性」は「メンバーが仲良し」という意味ではない

心理的安全性は、もともと英語の「サイコロジカル・セーフティ(psychological safety)」を和訳したものですが、どうしてもその言葉の響きから、単純に「精神的に安心できている状態」として捉える方が多いようです。

「チームのメンバー同士の仲が良い状態」を「心理的安全性が高い状態」として考えるのは間違いです。

心理的安全な状態の新の意味は、チームのメンバー一人ひとりが「自分がどんな行動をとっても、他のメンバーから否定や避難をされることはない」と感じ、遠慮なく発言し、アクションを起こせるような状況にあることです。

ですから、心理的安全性が高い状態だからこそ、オフィスで侃々諤々の議論が繰り広げられる、といったことだってあるわけです。

場合によっては言い合いのようにも見えるかもしれませんが、これは仕事に前向きで、お互いに遠慮なく接することができ、より良い方向に向かおうとするための議論であったとしたら、決して悪いことではありません。

日本の企業が伝統的に持っている「調和」というのは、確かに素晴らしい精神だと思います。それに対して「心理的安全性がとれた調和」は、それとはちょっと異なるものです。

もちろん状態としては調和であるものの、あくまでチャレンジするための調和なのです。概念として日本の言葉であらわすならば「和して同ぜず」といったところでしょうか。「同じて和せず」ではありません。

このように表面的な対立は歓迎しながらも、目指すべき価値観などは同じものとなっていて、一緒に進んでいくといった状況をイメージしてもらえれば良いでしょう。積極的なディスカッションが盛んな文化、と表現しても良いのかもしれません。

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失敗やミスが表面化させるために必要な「心理的安全性」

著者紹介

窪田晃和(くぼた・てるかず)

TAC法人研修プロフェッショナル講師、ザ・アカデミージャパン エグゼクティブ・トレーナー

1974年埼玉県生まれ,立教大学出身。子ども向け教育教材の営業でトップセールス,マネジャーを経験。その後,現場感覚に寄り添う研修講師・コンサルタントとして,17年に渡り300社,30,000人を超える人材育成に関わる。

現在は,株式会社ザ・アカデミージャパンのエグゼクティブ・トレーナーとして,官公庁,メーカー,IT,人材サービス,非営利法人など幅広い業界にお役立ちを提供。特に実践版レジリエンス研修では,日本一の導入実績・評価を誇る。

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