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”失敗を責める”上司が気づかない「生産性を下げている犯人」

窪田晃和(ザ・アカデミージャパン エグゼクティブ・トレーナー)

2020年03月09日 公開 2020年03月11日 更新

米Google社がチームの生産性を高めるための最善の方法として着目した「心理的安全性」。

ハーバードビジネススクールのエイミー・C・エドモンドソン教授によって提唱されたこの概念は、対人リスクをとるのに安全な場所であるとの信念が共有された状態が形成されることにより、チームの中にどんなことでも話せる安心感が生まれ、生産性の向上に繋がるとされています。

「生産性を高めるための唯一の方法」などと言われたことで注目を集めていますが、心理的安全性が高まることで起こるのは、それだけではありません。良好な人間関係や、建設的で質の高い対話が生まれるなど、変化の影響は広範囲に渡ります。

それだけにミスや失敗を批判する文化が横行すれば、逆の悪影響が生まれかねません。本稿では、心理的安全性が高まることによって起きる変化のうち、みなさんがあまりイメージできていない部分について説明していきたいと思います。

 

問題への対応や課題の解決が素早くなる!

心理的安全性が高いチームは、チームのメンバー一人ひとりが「自分がどんな行動をとっても、他のメンバーから否定や避難をされることはない」と感じ、実際に遠慮することなく発言や行動ができるような状況にあります。

隠し事などをする必要などなくなり、誰もがオープンに問題点を議論できますので、実際に問題が起こったときの対応が素早く、かつ適切な行動をとれるようになるといえます。

2003年に起きた、NASAのスペースシャトル・コロンビア号空中分解事故を覚えておられるでしょうか。あの時、打ち上げ時のトラブルから機体が損傷したのではないかと感じていた技術者がいたそうです。

しかしそれを管理機構側に伝えても、とりあってもらえなかった。それは管理機構側の方で、上司にこんなこと言って大丈夫だろうかといった心理的な壁ができていて、言えないままになってしまったと。

それがすべての原因ではないのでしょうが、結果的にあの事故が起きてしまったといいます。

似たような事例は医療現場などでも見られるといいます。夜中に病院で看護にあたっている看護師が、この投薬量で大丈夫だろうかとか、このままの状況で大丈夫だろうかと心配になったと。

しかし担当医師はもう帰宅していて、もう寝ている頃だろう。そんなときに連絡したら怒られるのではないだろうかと、悩んだ末に言えなかったと。

一緒に仕事をする中で、どんなことでも話せる、スピークアップできる雰囲気ができていれば、このようなことにはなりません。

必然的に問題や課題を把握するタイミングは早まり、また対応策をチームで協議できることから、適切な対応がとれるようになる。こういった点は、心理的安全性の高いチームでみられることだといえます。

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メンバーの仕事を覚えるスピードが早くなる!

著者紹介

窪田晃和(くぼた・てるかず)

TAC法人研修プロフェッショナル講師、ザ・アカデミージャパン エグゼクティブ・トレーナー

1974年埼玉県生まれ,立教大学出身。子ども向け教育教材の営業でトップセールス,マネジャーを経験。その後,現場感覚に寄り添う研修講師・コンサルタントとして,17年に渡り300社,30,000人を超える人材育成に関わる。

現在は,株式会社ザ・アカデミージャパンのエグゼクティブ・トレーナーとして,官公庁,メーカー,IT,人材サービス,非営利法人など幅広い業界にお役立ちを提供。特に実践版レジリエンス研修では,日本一の導入実績・評価を誇る。

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