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社会

インドで真面目に考えた、「人前でパンツを脱ぐこと」の価値

さくら剛

2020年03月05日 公開

 

破るべき自分の殻と、守るべき常識の壁

ただ、そうはいってもインドの人々に学ぶこともある。日本人は、他人の目を気にせずに自分の行動を決めるということはまず無いと言ってよいと思う。

それだけに、人付き合いにおいて「空気を読む」ということがとても重要視される。

少し変わった行動を取ったり、場の雰囲気にそぐわない発言をすると、「空気が読めていない」とまるで悪いことをしているような扱いを受けてしまうことがある。

それに対して、インド人はまるで正反対だ。彼らは、他人の目は気にしない。

自分がやりたいと思ったこと、したいこと、相手にさせたいこと、どんなことでも思う通りにするし、躊躇せずに言葉に出す。それははっきり言って、いくらなんでも空気を読まな過ぎである。

外国人旅行者(オレ)がすぐ目の前を歩いているのに平気で道の上で大便をしながら、しかも話しかけてくるとか…

さすがに少しは空気読めよっ!!!他人の目を気にしないにも程があるぞっっ!!!相手が旅行者だからいいのかっ!

しかし、人の目を常に気にして、「空気が読めない」と言われることを恐れていては新しいことは出来ないし、自分や常識の殻は破れない。

だからといって空気を全く読まず、路上しかも人前で大便をしてはいけないが。たしかに人に排泄姿を見せることによって自分の常識の殻は破れるかもしれないが、それは別に破らなくていい殻である。

要は空気を読まないで突っ走る行動を選択するにも、「今は空気を読まないで突っ走ってしまってもいい場面か」という空気を読む必要はあるということだ。

つまりそこでオレが思うのは、日本人とインド人、両方の良い点をうまく合体させたらどうだろうということだ。

インドで多くの人間に出会い、ボッタくられ、騙されたことによりオレは改めて日本人の「正直さ」や「謙虚さ」という長所を身に沁みて感じたし、同時にインド人の猪突猛進の行動力に感心もした。

だから、上手に両方の良いところをミックスするのが、一番理想的なことなのではないだろうか。それが出来ないから日本とインドは違う国なんだろうけどな。

オレはインドに別れを告げたが、また別の国、また次の国を旅してたくさんの新しいものを見ることによって、遡ってインドをもっと理解出来る時が来るのかもしれない。

そんなことを願いながら、まだオレの旅は続くのだった。

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