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経済の縮小をどう見極めるか? アメリカの資産家が高校生に教える「景気の読み方」

アンドリュー・O・スミス (著), 桜田直美 (訳)

2020年03月10日 公開 2023年01月11日 更新

景気後退の影響が直撃するのは誰か?

経済の縮小で困るのはビジネスだけではない。人々も大きな影響を受ける。

景気後退はたいていの場合、失業、給料が上がらない、あるいは下がる、政府と家計の借金が増える、党派の対立が激しくなるといった痛みを伴うことになる。

経済専門家の中には、景気後退も景気循環の一部であり、たしかに痛みを伴うが、期間は短いのでそれほど大きな問題にはならないと考える人もいる。

それに景気が悪くなると、企業は生産性を上げる努力をするので、長い目で見れば経済にとっていいことだという。

経済を成長させるひとつの方法は、生産性を上げることだ。生産性とは、ある一定のインプットに対して、どれくらいのアウトプットがあるかということを意味する。

たとえば、あなたがマクドナルドで働くことになったとしよう。最初のうちは、1時間で作れるハンバーガーの数は15個だ。この1時間で15個という数字が、あなたの生産性ということになる。

そして経験を積むうちに、やがて1時間に20個作れるようになり、さらに25個作れるようになった。これは、あなたの生産性が向上したという意味になる。生産性が向上すれば、給料の上昇にもつながるかもしれない。

生産性が高いとは、資源をより効率的に使って財やサービスを生産できるということだ。だから、生産性が上がると、経済全体が成長し、私たちの生活水準も向上する。

経済には「低成長」という状態もある。まったく成長していないわけではないが、成長率が年に1~2%しかないような状態だ。

アメリカの場合、人口が増えているので、低成長は大きな問題だ。アメリカの人口は、2014年には3億1870万人だったが、2020年には3億3450万人になると見込まれている。つまり、年に1%弱のペースで人口が増えているということになる。(注5)

人口の増加を考えれば、年に1%の経済成長で現状維持だ。それ以下では、国民ひとりひとりの取り分が少なくなることを意味する。経済が低成長に陥ると、ほとんどの人は生活を切り詰めなければならなくなる。

 

注2. World Bank, “GDP (current US$),” 2014 data, country tables accessed November 26, 2015.

注3. U.S. Department of Commerce, Bureau of Economic Analysis, “National Income and Product Accounts,” November 24, 2015.

注4. U.S. Department of Commerce, Bureau of Economic Analysis, National Economic Accounts, “Gross Domestic Product,” current dollar and real GDP tables, November 24, 2015.

注5. U.S. Census Bureau, “Projections of the Size and Composition of the U.S. Population: 2014-2060,” March 2015.

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