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「がんは、必ず死ぬ病気ではなくなりつつある」研究者が語る"治療の最先端”

一石英一郎(いちいし・えいいちろう)、鬼塚忠(作家エージェント)

2020年03月13日 公開 2022年02月02日 更新

一石英一郎(いちいし・えいいちろう)氏は、日々、内視鏡検査によってがん細胞の早期発見に努める内科医です。

日本では、2020年から順次、小学、中学、高校でがん教育をすることが決まり、新学習指導要領に明記されることが決まりました。

一石氏は、少しでも多くの日本人にがんを正しく理解して欲しい。その思いから『親子で考える「がん」予習ノート』を上梓しました。そして、「必ず死ぬ病気ではなくなりつつある」ことを親子で知ってほしいと語ります。

本稿では、作家エージェントでかつ自身も『花戦さ』などのヒット作品の著者でもある⻤塚忠さんが、一石さんに「正しいがんの理解の方法」を聞きました。

 

光免疫療法、マイクロRNA検査、遺伝子治療…日進月歩の「がん研究」

(鬼塚)がん教育が2020年から小学校だけでなく、中学・高校と順次はじまり、がんは、今でも日本人の死因の第1位であるので、がん教育は必要だと伺いましたが、最新のがん治療の話をお聞きしたいと思います。

(一石)がん研究は日進月歩の速さで進んでいます。現在研究中の最先端のがん治療も、いずれ、私たちにとって身近な治療になるでしょう。そこで、後半では最新のがん研究を紹介します。光免疫療法、マイクロRNA検査、遺伝子治療です。

(鬼塚)聞きなれない言葉がいくつも出てきましたね。一つずつ紹介していただけますか?

(一石)はい。まずは光免疫療法についてです。ごく近い将来、日本に導入され、治療費が安くて高い効果が見込めるとして注目されています。開発したのは、米国立衛生研究所の小林久隆・主任研究員です。

父親をがんで亡くされ、がん治療を模索していた楽天の三木谷浩史氏が、この療法に目を付け、個人でも楽天法人でも投資し、がん理療の分野に進出するそうです。そういう意味でも注目されています。

どういった治療法かというと、テレビのリモコンに近いレーザー光を患部に当て、がん細胞だけを選択して破壊する治療法です。2012年に当時のオバマ大統領が一般教書演説で、小林氏の名前こそ挙げませんでしたが、

「健康な細胞には触れずにがん細胞だけを殺す、新しい治療法が開発されつつある」と紹介し、当時、世界的に話題になったがんの治療法です。なぜそうなったかというと、小林氏はその三か月前にマウス実験で「8割が完治、副作用なし」という驚きの研究結果を得ました。

それを医学専門誌に発表し、先の米国立衛生研究所がすぐにホワイトハウスに報告したところ、「米国の研究」として演説に採用されたと言われています。

アメリカの人気大統領が言ったのですから影響は大きいです。すでに米国では治験が進んでいます。日本でも、2018年4月から国立がんセンターで治験が行われ、好成績を上げたと聞きます。

(鬼塚)もうすぐ光免疫療法が広く行われるということですね。近い将来、医学界で注目されそうですね。

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