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「自分の年金」は「自分で守る」しかない…年金を少しでも増やすための方法

篠原充彦(篠原FP事務所代表)

2020年04月02日 公開 2022年05月25日 更新

コロナウイルスによる活動自粛ムードのなか、経済活動への影響が心配されており、それは私たちの家計も例外ではない。

お金について、「コスパ(コストパフォーマンス)」の観点からズバリ切り込んでいく『コスパの神様』の著者である、ファイナンシャルプランナーの篠原充彦先生に、先行きが不透明な状況下で誰もが気になっている家庭のお金の悩みについてうかがった。

※本記事は、篠原充彦:著『コスパの神様』(ポプラ社)より、一部を抜粋編集したものです。

※本稿は2020年4月時点の情報に基づき、投資に対する考え方を示したものであり、個別の金融商品を推奨するものではありません。金融商品の価値は状況によって変動しますので、購入の可否を含む投資の判断はご自身の責任で行うようお願いいたします。

 

今一番多い相談が「老後不安」

私の事務所に来るご相談者で今、一番多いご相談内容が「老後の家計不安」です。 

「今のままの家計で、定年した後も大丈夫かどうか心配で来ました」と定年後に収入が減るのがわかっている方は、定年前の今のうちから、家計のやりくりや老後の生活設計のご相談に来られます。

一昔前のように、「30数年勤め上げて、さぁ、今から第二の人生!悠々自適なセカンドライフを送るぞ!」とは、なりません。

理由は2つ。

一つはこれから人生100年時代と言われるように長生きになったこと。平成30年の簡易生命表によると、男性の平均寿命は81.25歳、女性は87.32歳で、出生者のうち90歳まで生存する者の割合は、男性26.5%、女性は50.5%と日本は超長寿社会に突入しています。

もう一つは、わずかな退職金と公的年金で生活ができるかという不安。しかも少子高齢化で老齢年金自体がもらえるかもらえないか不安な方が多いのです。

年金は原則65歳から受け取れます。20歳から60歳まで、ずっとお店などをやっていた自営業者の場合、65歳から満額で78万100円(2019年4月時点)、月額にすると、毎月約6万5000円、夫婦で約13万円受け取れます。

会社員の場合、夫婦で受け取れる平均年金額は約22万1500円です。年金を収めた期間が少なければ、この支給額より低くなります。やはり、不安になるのがわかりますね。

ただ、通常、65歳から受け取れる年金ですが、早く受け取りたいという方は、60歳から受け取ることができます。これを「繰上げ受給」とい呼びます。

いや、そんなん、60歳になったら早めにもらった方が得やん! と思ったあなた。危険です。

早くもらう分、受け取れる年金が1ヶ月につき0.5%減額されていくのです。60歳から受け取ると、なんと30%カットされることになります。

「えっ⁉ けど、65歳になったら、正規の受給額に戻るんじゃないの?」と思う方もいるかもしれませんが、残念ですが戻りません。60歳の時にこの請求をした瞬間から一生30%カットの金額が確定します。ということは、長生きすればするほど損をする計算になります。

損益分岐点は、繰り上げてから16年8ヶ月後です。「76歳8ヶ月」から、通常の65歳受給の方に追い抜かれていきます。

「いつ死ぬか」というのは、誰にもわかりません。ただ、人生100年時代が来ることに逆行している選択だということははっきりわかるので、よほど生活が困窮していて、どうしても60歳からもらわないといけないという人以外は、安易にこの制度を発動しない方がいいと思います。

 

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年金の受給額は「増やせる」

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