《新型コロナウイルスの感染の拡大により、営業自粛や勤務時間の短縮、くわえて会社や職種によってはリモートワークの導入など、働き方も大きく変わってきている。
近年は若者の考え方の変化もあり、マネジメントのやり方も新しい手法が求められている。マネージャー世代と現在の若手世代とは、考え方や感覚に大きなギャップがある。
これまでに約250社2万人以上のマネジャーやリーダーに研修を行ってきた、『使えない部下はいない』の著者である成田直人先生に、部下育成のポイントをうかがった。》
※本記事は、成田直人:著『使えない部下はいない』(ポプラ社)より、一部を抜粋編集したものです。
「何をどうやって教えるか?」よりも「誰が教えるか?」が重要
私が管理職研修で大切にしているのは、「何を教えるかよりも誰が教えるか?」が重要であるということ。教えてもらうなら自分が憧れている上司、好きな先輩から教わりたいものです。嫌いでうざい上司から教わっても明らかにノウハウ(スキル)吸収率が落ちるのが今時の部下の特徴です。
多くのビジネス書には、教えるときの具体的な指導法が満載ですが、「誰に教わるか?」を取り入れた教育の書籍は多くありません。
私自身が大手企業の管理職研修をしていて、「ビジネス書を読んでいろいろと試しているんですけどね……」という方ほど表面的なノウハウを行使しているだけで部下の心を本質的につかめていないように感じました。
だからこそ、日常のコミュニケーションを通して(瞬発力はありませんが)地味に時間をかけてよい人間関係を作っていきましょう。そうすることで教育がしっかりと機能するようになります。
マネジャーを選ぶことができなかった時代は、何もかも我慢をしながら仕事をしていましたが、今はパワハラ一つで上司が飛ばされる時代です。お互いにフェアになっているからこそ、教わる立場の部下も「教わる相手」を見定めているのです。上司としても選ばれる努力をすることが大切だと思います。
部下を選ぶ側から選ばれる側の努力はこれまでのマネジメントの多くを否定しなければいけないかもしれません。しかし、部下からアクションがなければ問題なし(不満・不安なし)ではなく、自ら部下の現状をヒアリングして「寄り添う」ことが何よりも大切です。
面倒だと思わずに日々の小さな手間の繰り返しで自然と良い人間関係を構築することができるようになります。
教わるならあなたから教わりたい!と部下に思ってもらえたら組織の推進力は倍増します。大切なことは部下に気に入られることではなく、組織目標を達成することです。