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「上司に叱られて育った人」が、同じように若手を叱って起こる悲劇

成田直人(ジャパンブルーコンサルティング株式会社代表取締役)

2020年05月14日 公開 2024年12月16日 更新

新型コロナウイルスの感染の拡大により、営業自粛や勤務時間の短縮、くわえて会社や職種によってはリモートワークの導入など、働き方も大きく変わってきている。

また、近年の若者の考え方の変化もあり、マネジメントのやり方も新しい手法が求められている。これまでに約250社2万人以上のマネジャーやリーダーに研修を行ってきた、『使えない部下はいない』の著者である成田直人先生に、部下育成のポイントをうかがった。

※本記事は、成田直人:著『使えない部下はいない』(ポプラ社)より、一部を抜粋編集したものです。

 

人格を否定するような叱責

ミスを何度も繰り返す部下に投げかける言葉として、普段どんなフレーズを使っていますか。

「またミスしたのかよ~。なんで?」
「お前は何をしても務まらないな!」
「やる気あんのかよ。なんでこんなに同じ失敗ばかり繰り返すわけ?」

など、本人の人格を否定するような言葉を使っていないでしょうか。

マネジャーが新人時代に散々これらの言葉を投げかけられたら、同様に部下にもそうしてしまう傾向があるのですが、それに対して「私の新人時代と全く反応が違うな」と困っているのではないでしょうか。

だとしたら今すぐ人格を否定するような叱責は封印することを誓ってください。意味がありません。

では、あなたが新人時代にマネジャーから受けてきた叱責と同様の効果を生み出すフレーズはどういったものなのか。その答えを紹介する前にマネジャーとして部下に接する際に気をつけて欲しいことがあります。

それは、「感情的になると本質が見えなくなる」ということです。

表面のミスばかりを叱責しても、「どうしてミスをしたのか?」「なぜミスをしてしまったのか?」の本質にたどり着かなければ、雑草が根っこを引き抜かないと永遠に伸び続けることになるのと同じです。「根本(根っこ)は何なのか?」を冷静に特定することが大切です。

冷静になることの効用はもう一つあります。感情的になっても部下は黙っているだけで正直、話のほとんどを聞いていません。叱られた経験もマネジャーと比べたら圧倒的に少ないのでどう反応していいのかわからずにフリーズしてしまうことがあります。これでは、反省を促し再発防止という期待に部下は応えることができません。

したがって、マネジャーは冷静に「同じミスが続いているけど、どんな手順で仕事をしてる?」「確認不足で同じミスが続いているよね。確認は100%できてる? できているのだとしたらどうやって確認してる?」と聞いてみるのです。そして、同時にこのフレーズも付け加えると効果的です。

「一緒に働くメンバーにとってもあなたにとってもミスはできる限り避けたいよね? 力になりたいから原因を特定しよう」

重要なのは「自分で考えてそれくらいのことは解決しろ!」と放置しないことです。必ず寄り添って一緒に根本の原因を特定することです。そして見つかれば行動に落とし込んで解決を図ります。

誰だって完璧ではないし、サボっているわけではありません。意図的にミスや失敗をしたのではなく、一生懸命仕事をしています。そもそもなぜ感情的になるのかというと、自身と部下を比較しているからです。要領が良い人もいれば飲み込みが遅い人もいます。身につけているスキルも経験も違います。

まずは部下の目線に立つことが部下の意欲を作ることはもちろん再発防止に対するコミットメントにも影響を及ぼします。あなたの目線ではなく、部下の目線で「どうして同じミスが続くのだろうか、どんなプロセスに問題があるのだろうか」を考えて一緒に解決を図っていきましょう。

部下のやる気(モチベーション)を落とさずにミスの再発防止を図るためにもあなた自身が部下への関わり方を変えることが何よりも大切です。

部下の連続するミスを作る発端になったのは、そもそもフォローをしていないあなたの問題なのかもしれないのですから。

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「顧客を怒らせた理由は○○だね」と特定し全員で根絶しよう

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