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名著が教える「社長が雑務を引き受ける企業」が伸びる理由

大賀康史(フライヤーCEO)

2020年08月17日 公開 2022年01月13日 更新

 

社長はプログラミング、財務会計、営業、総務まで自身の対応力が求められる

起業の成功を左右する大事な要素は、誰と一緒に行うか、だと言えるでしょう。一緒に起業してくれる人というだけでとても貴重な存在です。ただ、起業に付き合ってくれる人だったら誰でも良い訳ではありません。本書では仲間を集める際の4つのポイントが紹介されています。

【必要最小限のチームで始める】
始めの事業アイディアが上手くいかないのはよくあることです。軌道修正したいときに人数が多いと、退職や人の組み換えに時間がかかるだけでなく、初期の事業モデルの検証にかかる資金が多くなります。初めは事業モデルのPDCAを回せる最小構成のチームで挑むべきです。

【カルチャーフィットを優先する】
毎日のように行うことが変わる創業時期は、失敗することを恐れないチームが求められます。この人と一緒に働きたい、と思える人を仲間にして、苦楽をともにしていくことが大切です。

【社長が雑用係を引き受ける】
会社を伸ばす過程では、プログラミング、財務会計、資金調達、営業、総務・人事など、様々な領域の業務が必要になります。

初めてすることが必然的に多くなりますので、社長が雑用係をするくらいでなければいけません。スタートアップでは、CEOはチーフ・エブリシング・オフィサーの略だとも言われます。ちなみに、私もフライヤーの創業時期では、問い合わせ対応、苦情対応、電話対応、トイレ掃除など、たくさんの雑用も行なっていました。

【社長が松明(たいまつ)をかざす】
どんな事業でも不安との戦いはあります。起業する人はリスクに強い特性がありますが、メンバーも同じと考えてはいけません。弱気になっているメンバーを鼓舞して、モチベートしていかなければならないのです。

【プロダクトの検証】
プロダクト(サービス)の検証をすると聞くと、ユーザーインタビューやアンケートを思い浮かべる人は多いかもしれません。しかし、本書では「声」を聞くことに意味はほとんどなく、「行動」を見よ、といいます。

行動といっても、実物としての人を見るということではなく、サービスを使い続けてくれているか、などといった具体的な利用実績を検証すると良いのだといいます。

以前、著名な投資家の方が、サービスに共感できなくても顧客の行動の数字を見れば、投資判断ができると言われていました。顧客の行動はごまかしがきかないものなのです。

 

今の時代を生きる人が学ぶべきこと

本書では数多くの起業家の苦労が生々しく描かれています。成功した起業家といっても、初めから正解を知っていた訳ではありません。人は人生のうちのどこかで、指一本でも成功のきっかけに引っ掛けようという執念を見せると、ステージが変わります。

私は苦労話が全くない起業家に巡り合ったことがありません。人並みの努力で満足せず、頑張らなければいけない時には、集中してものごとに当たり、時には執念を見せることが大切です。

ものごとに挑戦した結果は「成功」か「失敗」ではありません。「成功」か「教訓を得る」かです。本気で挑戦した人が、当初想定した結果が得られなかったとしても、教訓という成長の糧は得られます。だからこそ、チャレンジをした人はきっとこれからも他の人から求められて、キャリア上もステージを上げることができるのです。

「成功の女神には前髪しかない」、と言われているように、まごまごしている人に機会は何度も訪れません。『STARTUP』は何かを成し遂げたいと思ったときに、頼れる一冊です。

気鋭の経営学者と第一線で活躍する投資家の共著であり、17人もの著名な起業家の方々の事例という、最先端の知恵が込められています。本書はあなたが困った時こそ、難所の抜け道を照らす灯りになってくれることでしょう。

著者紹介

フライヤー(flier)

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