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知られざる住宅価格の謎…なぜ住宅メーカーが違うだけでこれほど「坪単価」に差が?

屋敷康蔵(一般社団法人建物災害調査協会理事)

2020年11月12日 公開 2022年02月25日 更新

自宅購入を考えたことのある人なら、住宅メーカーの違いによる坪単価の違いに驚いたことのある人も多いのでないだろうか? 街中では、「坪単価25万円」という住宅メーカーの看板を見たことがあるが、大手住宅メーカーに行くと、坪単価はその倍以上することがほとんどだ。

「住宅の坪単価の違いを建物の構造や仕様だけで説明しようとすると、無理が生じる、建物自体にほとんど差はない」と著者は語る。

では、その坪単価の差と何か? 一般社団法人建物調査協会理事を務める著者が明らかにする。

※本稿は、屋敷康蔵著『人生を賭けて「家」を買った人の末路』(PHP研究所)の内容を一部抜粋・編集したものです。

 

住宅メーカーの坪単価の違いは建物にあらず!

昔のように、大工さんが一から十までつくる家なら、大工の腕によって仕上がりに差は出るかもしれませんが、今は木材も工場で加工されてきますし、屋根材は屋根材のメーカーが、外壁材は外壁材のメーカーがつくっています。

外壁材ならニチハやケイミュー、キッチンメーカーならクリナップやタカラスタンダード、トイレならTOTOやリクシル……。今の住宅は、そのほとんどすべてが外注メーカーの製品の寄せ集めでつくられています。

つまり建物全体の施工は住宅メーカーで管理はするものの、住宅メーカー自体でつくるものなど、ほとんどないに等しいのです。

下請け業者ですら、一社専属で仕事を請け負う業者などほとんどありません。基礎屋であろうと屋根屋であろうと、複数の住宅メーカーの依頼を受けて並行して仕事をしているのが現実です。

大工の腕も最近ではあまり関係なくなってきました。今は工場から現場に運ばれてきた木材を図面どおりに組み立てるだけの、大工というより「組み立て屋」に近いからです。

ただ、大手の老舗住宅メーカーになると「自社オリジナル製品」を住宅に取り入れているところはあります。

これは住宅メーカーが独自に開発・製造している建材や設備のことで、「○○ハウスオリジナルキッチン」とか、「○○ホームオリジナル洗面台」などというもので、他の住宅メーカーにはない、そこの住宅メーカーで建てたお客様しか購入することができない住設機器です。

実はこの「自社オリジナル製品」というものが、高額坪単価の住宅が出来上がる理由の一つです。自社でオリジナル製品をつくるということは、つまりはその製品を開発する「人」や、製造する工場が必要になるということです。工場には当然、製造する「人」も必要になります。

そこで働く人達には当然、お給料を支払わなくてはなりませんよね。工場の維持管理費も必要となってきます。つまり、企業にとって一番多くかかる経費は「人件費」なのです。オリジナル製品というと聞こえはいいのですが、つまりそういった経費も「坪単価」に反映されていると考えるのが自然です。

もちろん、「オリジナル製品」を全否定するわけではありませんが、私個人的にはやはり「餅は餅屋」と考えます。キッチンであれば何十年もキッチン一筋でやってきたキッチン専門メーカーが、トイレはトイレの専門メーカーのほうが、住宅メーカーがついでに始めたオリジナル製品なんかより、安心して使える気がします。

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高価格の住宅メーカーには、さらなる理由が……

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