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社会

「年収1000万円でも住宅ローン審査に落ちる人」が捨てられない”見栄とプライド”

屋敷康蔵(一般社団法人建物災害調査協会理事)

2020年11月13日 公開 2022年02月25日 更新

 

見栄とプライドの「人生無限列車」が行きつく先は?

ここでポイントとなるキーワードが、「見栄」です。住宅を購入する人の動機にも、少なからずこの「見栄」は含まれています。特に最近は、SNS上での見栄の張り合いが住宅購入者にも見受けられる傾向があります。

プライベートの充実をアピールする「キラキラ女子」なんていう言葉を耳にすることがありますが、住宅購入者でもマイホームを手に入れたご家族が「キラキラ家族」となり、過剰に自分達をアピールする風景を目にすることがあります。しかも、傍目 には誰もが羨む裕福なファミリーに見えても、その内情は火の車なんてことも……。

プライドは生きていくうえでの原動力になります。プライドと見栄の境界線は難しいところですが、プライドが外的アピールに暴走した結果、「見栄」に変貌を遂げるものなのかと思えなくもありません。

ただ、必死になって充実感をアピールしている人には申し訳ないのですが、所詮、人は皆「他人の不幸は蜜の味」で、他人の不幸に興味はそそられても他人の幸せには興味がないのが現実です。

私が担当した住宅購入者を3年後に訪問してみると、新築を引き渡した時にはなかった豪華なカーポートに新車が2台……という光景を目にすることがあります。住宅ローンも無事借りられたし、安心して他のローンが組めたというところでしょうか。

生活してみたら意外と草むしりが大変だったのが分かったのか、当初は家庭菜園を予定していたはずの庭には土間コンクリートが敷かれている、なんてこともよくあります。

カーポートに土間コンクリート……、これだけの外構工事なら200万円以上かかっていることは明らかです。住宅の契約時、契約金(内金)として10万円用意するのに四苦八苦していたお客様ですから、おそらくこれらにかかった費用も……ローンでしょう。

そしてさらに3年後……、手塩にかけたあのこだわりの住宅は、不動産情報誌に中古物件として「Now on Sale!」とされていました。あのご家族は一体今、どこへ行かれてしまったのでしょうか……。

このように、住宅ローン破綻する人に共通しているキーワードは、やはり「見栄」なのです。「金はあっても貯金はない」なんていう言葉がありますが、それならまだマシなほうです。「見栄という病」に取り憑 かれた人間は、消費という無間地獄に陥り身を滅ぼしかねないということを、くれぐれも肝に銘じておいたほうがいいでしょう。

一般的な認識として、「金持ち=贅沢で裕福な暮らしをしている」というイメージがあるかもしれませんが、私の見てきた現実はそうとも限りません。

消費者金融に従事していた頃に見かけた「借金を抱えた人達」の多くは、むしろ普通の人より生活レベルが高く、身に着けているものや乗っている車も上等なものばかりでした。ローンで買った600万円以上する大きな車で乗り付け、消費者金融でお金を借りて帰るのですから凄まじい話ですよね。

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