「天職に就く」だけじゃない、自分のキャリアの可能性の見極め方
2021年04月27日 公開 2022年10月06日 更新
「天職が見つかる」ことは、個人のキャリアの中でも最も幸福なことですが、そうした事例はなかなか少ないのが現実です。お金のためだけに不向きなことでも、意欲が湧かない仕事でも働くという選択肢もありますが、それ以外の可能性はないのでしょうか。
厳しい就職事情の中でわたしたちは無理のない範囲で、自分の可能性を広げながら業務を転身させていく必要に迫られています。その中で重要なのは自分の可能性のうちに優先順位を付けることでした。
※本記事は、黒田悠介著『ライフピボット』(インプレス)より一部抜粋・改編にてお送りします。
自分の可能性にどうやって優先順位を付ける?
自分の過去やってきたことをベースに、それと連続した選択肢を隣接可能性と呼びます。自分の隣接可能性を洗い出したあとは、そのなかから選択する必要があります。
うまくいかなければまた別の隣接可能性を選べばよいのですが、わたしたちの時間は有限なのですべての選択肢を無作為に試していく時間はありません。なので、自分なりの優先順位をつけて選択するのがよいでしょう。
優先順位の決め方は先人が知恵を残してくれています。最も有名なものは『7つの習慣』(キングベアー出版/完訳版2013年刊)の著者であるスティーブン・R・コヴィー氏が提唱したタスク管理法です。
「緊急性」と「重要性」で優先度をつける手法です。その考え方から「緊急性」と「重要性」がともに高い隣接可能性から試してみる、というのもありでしょう。
特に、隣接可能性が一定の時期や年齢までしかできないことなら、緊急性も高いでしょう。
また、自分にとって重要なことがわかっていれば、緊急でなくても重要性という基準で優先度を上げるべきかもしれません。
ここではもう一つ、「Will」「Can」「Need」の三つの輪を使って隣接可能性をマッピングして優先順位をつける方法をお伝えしたいと思います。
まず、三つの輪をベン図のように配置します。ここに隣接可能性をマッピングしてみましょう。
Will、Can、Needの分類
(1)やりたい度合いの強いものは「Will」のなかに入れます。モチベーションの高さや意志の強さ、価値観との合致を重視する指標です。「自己理解」によって見いだされた隣接可能性はこの「Will」を満たす場合が多いです。
(2)できる度合いの強いものは「Can」のなかに入れます。スキルや知識を重視する指標です。「スキルセット」によって見いだされた隣接可能性はこの「Can」を満たす場合が多いです。
(3)他人から求められる度合いの強いものは「Need」のなかに入れます。つながりのある人から求められるかどうか、ニーズがあるかどうかの指標です。「人的ネットワーク」によって見いだされた隣接可能性はこの「Need」を満たす場合が多いです。
こうしてマッピングすると、隣接可能性は8パターンに分類されます。
より多くの輪に入っている隣接可能性を選ぶことで、無理なく楽しく稼げる活動になっていくはずです。8パターンの優先度を詳しく見てみましょう。
まず、Aのようにどの輪にも入らない隣接可能性は迷わず捨てていいでしょう。できない、やりたくない、ニーズがない、となると、誰のためにもなりません。こういった隣接可能性はそもそも考える必要はありません。
一方、一つの輪に入る隣接可能性はどうでしょうか。Bはやりたいけど、できないしニーズがない。Cはできるけど、やりたくないしニーズがない。Dはニーズはあるけど、やりたくないしできない。どれもなかなか厳しい。積極的に選ぶ必要はなさそうです。