人間関係に悩まない「最適な距離感」のヒントがバスケットボールにあった
2021年04月28日 公開 2024年12月16日 更新
誰もが他人から嫌われたくないと思うものだが、その思いが過度になると人生が苦しくなってしまう。noteで人気のエッセイスト・みくりや佐代子氏は「みんなに好かれるいい人」を目指し心身をすり減らした経験から、他人と距離を取った方が良好な関係を築けることに気が付いたという。人間関係を良好にする「ワンアーム・ディスタンス」とは何だろうか。
※本稿はみくりや佐代子著『働く女の「しないこと」リスト』(インプレス)より一部抜粋・編集したものです。
人生が苦しくなる「ギブアンドギブ」
もしも時を戻して社会人になりたての自分に会うことができたなら、最も伝えたいのはこれに尽きると思います。
「どうか、『みんなに好かれるいい人』を目指さないで!」
いい人になろうとしすぎてバランスを崩した私。20代での大きな苦労の根源はここにありました。そもそも「みんなに好かれるいい人」とはどんな人でしょう。
親切で、思いやりがあって、常に周囲に気を配る人……と言ったところでしょうか。ではそれをより具体的に考えてみると、どのような行動を取る人が浮かびますか?
いい人の例
・誰かが悩んでいたら声をかけ相談に乗る
・誰かの仕事を積極的に手伝う
・誰かが失敗しても責めずにリカバーする
これらの例からも分かるように、「いい人」の認識は「いかに他者のために自己犠牲をするか」という軸で測られる場合が多いのです。誰でも、優しくされたり助けてもらったりするとその人を好意的に感じるものですよね。
けれどこれらをすべて「正しい」と認識し行動していくと、だんだんと負担を感じるようになるでしょう。なぜなら上記に挙げた行動は全て他者に時間を使う行為だから。これらばかりやってしまうと、ギブアンドテイクではなくギブアンドギブ。
無意識に見返りを求めてしまう…
私自身、これにはかなり苦しめられた記憶があります。2人目の子供の育休復帰後は特に子育てとの両立で職場に迷惑をかけている後ろめたさがあったので、とにかく何でも請け負わないと!と必死になっていました。
誰かを手伝うことでその人が喜べばそのたびにホッとしたのを覚えています。すると周りも「やる気のある社員だ」と認識したようでいろいろと任されるようになりました。
期待されればされるほど、失望されたくなくて期待に応えようと頑張ってしまう。そんな「期待に応え癖」がついていってしまったのです。
ところが、手一杯になった時に自分が助けを求めようとしても「手伝ってください」の一言が出ませんでした。それもそのはず、好かれることで安心を得ていたからこそ、今度は嫌われたくなくて頼れないという意識の芽も一緒に育ててしまっていたのです。
そうして私はどうしたか。毎日、通勤電車の中でこんなことがぐるぐると頭の中を巡ります。
「あの人の分までセールスをしてあげたのに給料は自分の方が少ない……」
「あの人の業務をあんなに手伝ってあげたのにあの人は今日も私より先に帰っていた……」
「どうして私ばっかりこんなに働かないといけないの!?」
ギブをしてもテイクがないことに不平不満が溜まる日々。悲劇のヒロイン爆誕です。ただ、よくよく思い出してください。自分から「私がやります」と言ったくせに?「手伝ってほしい」とも口に出してもいないのに……?
そうなんです。他者評価が欲しくて「みんなに好かれるいい人」になろうとしていたのは自分なのに、「誰も頑張りに気づいてくれない……」と内側で嘆いていたのです。