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生き方

クヨクヨ、イライラ...「気にしすぎてしんどい」繊細な自分との付き合い方

井上智介(精神科医、産業医)

2021年08月26日 公開 2022年06月20日 更新

 

気にして「イライラする」ときの3つの対処法

(1) 一人になる時間を作る

家族でも友人でも誰かと一緒にいるときは、最低限の気を遣います。それなのに、相手にあなたを気遣う様子がないと、自分の存在をないがしろにされたように感じ、イライラしますよね。

そのようなときは、一人の時間を増やしてください。ただ、じっとしていると悶々とするでしょうから、買い物に行ったり、散歩に出かけたりするようにしましょう。一人でいると、他人に期待することもなく、余計なことを考えなくなりますよ。

(2) 自然を感じるようにする

自然のパワーに触れ、畏敬の念を抱くことで、自分の悩んでいることが、とてもちっぽけなものに思えてきます。もちろん直接、森林などに足を運ぶこともいいのですが、近くの公園に行き、10分ほど園内を散策したり、ベンチや芝生でボーッとしたりするだけでもかまいません。

また、間接的に自然を感じる方法として、自然の写真を見るだけでもイライラを抑える効果があるので、お気に入りの自然の写真を持ち歩くのも効果的です。

(3) 紙に書き出す

イライラしているときは、その原因を思いつくかぎり紙に書き出してみましょう。それだけでスッキリする人もいます。人によって原因はさまざまだと思いますが、イライラするのは、自分の大切なものを傷つけられたからです。

書き出した紙を見て、もし相手の遅刻にイライラしているなら、自分は「マナーを守ること」や「自分の時間」を大切にしている人間なんだとわかります。イライラという感情を利用して、新しい自己発見につなげてみてください。

 

気にする性格は"誇れる長所"になる

誰かから「そんな小さなことは気にしなくていいよ」とアドバイスされても、実際は「自分は些細なことが気になる性格なんだ…」と悩む種になってしまいますよね。しかし、そのような性格は、決してダメな性格でもなければ、間違った性格でもありません。うまくバランスを保てれば、誇れる長所にもなり得ます。

周りを気にする力を持っている人は、他人に対する共感力が高いとも言えます。意見がぶつかったときでも、決して自己中心的ではなく、相手の立場にたって物事を考えることができるのです。その結果、相手を尊重してお互いに歩み寄るスタンスを示せるので、周りからは信頼されやすくなります。

さらに、小さなことが気になる人は、ちょっとした変化や違和感を見逃しません。たとえば、友達が髪を切ったことや新しいカバンを使っていることにすぐに気がつきます。やはり、相手としては、その変化に気づいてくれるのは、とてもうれしいことですよね。

さらに、その能力は仕事でも活かすことができます。小さなミスにも早く気がつけるので、大きな失敗につながることを早い段階で予防できるのです。過去に「あなたのおかげで助かったよ」と言われたことがある人も多いかと思います。

このように、良い点もたくさんあるのです。必要以上に自分を責め、プレッシャーをかけたりせずに、気にする性格を長所として捉え、うまく活かしていきましょう。

 

「HSP」って知っていますか?

最近よく耳にする「HSP(ハイリ―・センシティブ・パーソンの略称)」とは、性格特性で医学的な診断名ではないのですが、共感性が高く、さまざまな刺激を敏感に感じ取ってしまう繊細な気質を持つ人のことを言います。ちょっとしたことが気になる人の中には、HSPに当てはまる人もいるかもしれません。

このHSPをネガティブな意味で捉える人がいますが、実際にこの気質を持つ人は、すごく謙虚で気が利いて、誰かを傷つけるのが嫌いな人であり、一緒にいて安心できる人です。ですから、ネガティブなイメージに捉われすぎないようにし、自分らしさを大切にしてください。

 

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