若い世代を中心に、資産運用を始める人が増えている。そうした人たちに支持されているのが、インデックス型投資信託と言われる商品だ。
つみたてNISA(ニーサ・少額投資非課税制度)やiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)などにおいても、こうしたインデックス型の投資商品を選ぶ人が増えてきている。なぜ、インデックス型投資信託が今、ブームになっているのだろうか?
『金融のプロが実はやっている最もシンプルで賢い「投資の結論」』(朝日新聞出版)の著者で、日米の金融機関で取締役を歴任し東証1部上場企業の現役CFOである北村慶氏に聞いた。
※本稿は2021年8月時点の情報に基づき、投資に対する考え方を示したものであり、個別の金融商品を推奨するものではありません。金融商品の価値は状況によって変動しますので、購入の可否を含む投資の判断はご自身の責任で行うようお願いいたします。
インデックス投資とアクティブ投資
投資信託には、大きく分けて、インデックス型とアクティブ型の2つがあります。
インデックス型は、パッシブ型とも呼ばれ、市場全体の値動きと同等の運用成果を目指す投資信託です。例えばTOPIX(東証株価指数)というインデックス(指数)への追随を目指す投資信託であれば、東証一部に上場する約2,000銘柄すべてに投資した場合と同じ運用成果が期待されます。
それに対して、アクティブ型は、インデックスを上回る成績を目指して、組入れる銘柄を選別して投資するタイプの投資信託です。
年金の大半はインデックス投資で運用されている
実は、私たち日本国民は全員、投資をやっているいないに関わらず、すでにインデックス投資に深く関与しています。私たちの老後を支える国民年金や厚生年金の大部分がインデックス投資で運用されているのです。
国民年金・厚生年金の運用は、厚生労働省の外郭団体であるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が行っています。
GPIFは、世界最大の年金基金として知られており、その運用資産は186兆円と巨額にのぼりますが、2021年3月末時点で、そのうち82.7%(※)がインデックス投資(パッシブ投資)なのです。
2002年3月時点ではGPIFのアクティブ投資比率は50.1%(※)と全体の約半分でした。それが年を追うごとにインデックス投資の比率が高まり、現在では8割超(※)がインデックス投資となっています。
(※GPIF公表資料より)