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職場でマウンティングされたら? 正解は「ダメなネット民を見習う」

カレー沢薫(漫画家・コラムニスト)

2021年11月17日 公開 2024年12月16日 更新

仕事に対しやる気があり、人間関係に繊細なのはいいが、それで健康を害してしまっては無意味。時には、仕事に無感情な人間の姿勢を取り入れ、「どうでもいいことでは悩まないようにする」のも大事なのでは? そんなわけで、新刊『反応したら負け』から、マウンティングしてくる人の対処法をお届けしたい。

※本稿は、カレー沢薫著『反応したら負け』(PHP研究所)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

マウンティングされても“子分”にだけはならない

「マウンティング」という言葉が一般化して久しい。元々犬とか猿とかが、己の優位を示すために、相手のケツに乗ったりする行動のことを指す。つまり、やっと我々が人間より遥かに優れたおドッグ様たちの真似ができるようになった、という喜ばしい話だ。

人類史にとっては「前進」だが「マウンティングされる側」になると悲惨である。「マウンティング」と言うと、眼力がやたら強いキラキラ女子やセレブたちが、彼氏の年収やタワマンの階数で競っているイメージがあるかもしれないが、マウンティングは誰でも行うもので当然、男もやる。

もちろん、職場でも、上司から部下、同僚同士、先輩から後輩、逆に後輩が先輩にマウンティングすることだってある。上から下にする「パワハラ」よりもさらに無差別級の血で血を洗う戦いなのだ。

マウンティングは、その場限りのイラつく自慢話ではなく「全てにおいて俺はお前より優位にある」と示す行為である。それに屈すると、たとえ相手が同僚だろうが、後輩だろうがへりくだってしまう。つまり「子分」になってしまう、ということである。

カンダタ一味で言えば、カンダタの両サイドにいる手下の盗賊ポジションだ。子分になると、親分の言うことは絶対、親分の横暴に耐えるのは当然、親分が何か言えば「さすが親分!それに比べてアッシときたら...」と相手を持ち上げ、自分を下げなければいけなくなる。

つまりマウンティングに屈すると「自己肯定感」がペイ騒動のときのセブン株ぐらい下がってしまうのだ。職場でこの状態になると、自分のすることに自信が持てず、ただ親分の言うことだけを諾々と行うガキの使いになってしまう。会社に上下関係はあるが「子分」にだけは絶対なってはいけない。

 

マウンティング対策は「でもお前口臭いよね」

マウンティングの対処法だが、まず大事なのは「これマウンティングや」といち早く気づくことである。それに気づけば「真面目に聞かない」という対処ができる。相手がマウンティングを始めたと気づいた瞬間、心を遥か上空に避難させる、簡単に言えば「上の空」だ。

真面目に聞くから「へえ~すげ~!」とバカ正直に感心してしまい、気づいたらケツに乗られているのである。マウンティングを取ろうとしてくる人間は、ことあるごとに優位に立とうとするので、そういう相手と話す時は、心を常にトカゲのしっぽのように切り離しておくことをお勧めする。

つまり、真面目で人の話をよく聞く人間ほどマウンティングを取られやすいということだ。「人の話を聞かない」というのはコミュニケーションで一番やってはいけないことであり、「聞き上手」こそが、本当のコミュ強であるというのが定説となりつつある。

しかし世の中には「聞かなくていい話」も多々あり、それまで全てちゃんと聞いていたら、マウンティングを取られたり「愚痴を聞いてくれるゴミ箱」扱いされてしまう。「池の水全部抜く」みたいな勢いで「人の話全部聞く」ではなく、聞くべき話と聞かなくていい話を見極めて聞くのが本当の聞き上手だ。

マウンティング話など聞かなくていい話の代表格だ。まずこれを見極められるようになり「聞かない」ようにするのが、マウンティングを回避するコツである。

または「ダメなネット民を見習う」だ。ダメなネット民というのは、女性がどんな偉業を成し遂げても、「でもブスじゃん」と全く関係ない点を指摘し、「だから俺の勝ち」と謎の勝利宣言をする。

それと同じように、相手がどんなマウンティングをしてきても「でもお前、口臭いよ」と、全く関係ない相手の欠点を見つけるだけで、マウンティングは回避できる。あまりいい方法ではないが、己の「自己肯定感」を守る戦いだ、手段は選ぶな。

 

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