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中学生のホリエモンが「パソコン沼」にハマって気づいた人生のコツ

堀江貴文(実業家)

2022年03月26日 公開 2024年12月16日 更新


(写真:HARUKI)

変化の激しいこの時代。大切なのは「頭の良さ」より「ハートの強さ」。日本のIT業界を牽引してきたサイバーエージェント代表取締役・藤田晋氏はこう語る。

同じく長きにわたりIT業界を発展させてきた、"ホリエモン"こと堀江貴文氏。藤田氏と堀江氏はともに事業をしたこともある"盟友同士"。そんな二人が書籍『心を鍛える』を通して、初めて「生い立ち」「起業」「キャリア」「未来のこと」を語り合った。

本稿では、のちの天才プログラマーである堀江氏の中学時代のパソコンとの出会いについてお話をうかがった。

※本稿は藤田晋,堀江貴文共著『心を鍛える』(KADOKAWA)より抜粋・編集したものです。

 

 夢中になったパソコンとの出会い

まずは「僕とパソコン(コンピュータ)との出会い」から聞いてほしい。

1983年、アメリカ映画『ウォー・ゲーム』が公開された。パソコン好きの天才少年が、国防省の軍事コンピュータに偶然アクセス。第三次世界大戦を引き起こしそうになる、というSFサスペンス映画だ。僕がコンピュータに魅入られたのは、紛れもなくこの作品がきっかけだった。それから1985年。3月から9月にかけて、茨城県つくば市で科学万博が開催され、科学やSFが一大ブームとなった。

その頃のメディアや科学雑誌がこぞって取り上げたテーマの1つに、コンピュータがある。御多分に漏れず、僕もコンピュータの大ファンだった。そこで「中学の合格祝い」という名目で、パソコンを買ってもらえるよう親を説得したというわけだ。

いつの頃からか、僕は興味があることについては、妙に直感が働くタイプだ。コンピュータについてもそう。触ったこともないくせに、確信に似た予感があった。「コンピュータを手に入れれば何かが変わる」「退屈な日常が、まったく新しいものへと変わる」「コンピュータの先にはまぶしい未来が待っている」――。

スイッチが入った僕は、投資家を説得する起業家さながらの熱意で親を説得した。「これは勉強にも使えるから」という大義名分で親を口説き落とし、我が家に日立のMSXパソコン「H2」(初心者用の廉価版)を迎え入れることができたのだ。そして、僕のカンは的中した。初めて触るコンピュータの面白かったこと!

 

中1でハマったのはネットサーフィンでもゲームでもなく...

「パソコンの何がそんなに面白かったんだ?ネットサーフィン?ゲーム?」若い世代からそんな質問が飛んできそうだから、ちょっと釘を刺させてもらう。

中1の僕がハマったのは、ネットサーフィンでも、パソコンゲームでもなく、「プログラミング」だ。当時はネットサーフィンなんてまだできなかった。ウェブのページが存在しなかったからだ。パソコンゲームに夢中になった覚えもない。

確かに、時代的にはパソコンゲームは隆盛を極めていた。でも僕は、「人が作ったゲーム」で遊ぶことに、さして喜びを感じないタチの人間なのだ。そもそも、我が家にはファミコンすらなかった。親が買ってくれなかったし、それを説得してまで入手するほど魅力あるものとも思えなかったからだ。

僕はMSXパソコンでのプログラミングに没頭した。英数字によるプログラムを入力すると、音楽が流れたり、絵が表示されたり、ゲームの世界を構築したりできる。それは誰かが作ったサイトやゲームを楽しむような「受け身」の遊びではない。自分が望む世界を、意のままに作り上げることができるのだ。

1年も経たないうちに僕のスキルは向上。初心者用のMSXパソコンではなく、本格的な機種が欲しくなっていた。とはいえ、2年連続でパソコンをポンと買ってもらえるわけがない。しかも狙っていた機種は、1台目の約3倍の価格。僕はやむなく約20万円を親から借りて、2台目を手に入れた(その後、新聞配達をして借金の全額を親に返した)。

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初めて知った「働くことの意味」

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