会社員として働きながら、副業で始めたブログで年間3億円の売上を生み出していたmoto氏。ブログは記事を書き溜めていく作業に非常に時間がかかり、多忙なビジネスパーソンには難しく思えるが、moto氏が収益をあげたブログは、5年間で18本の記事しか掲載していなかったという。普通の会社員がブログなどの「情報発信型の副業」で成功するための方法を教えてもらった。
※本稿は、『THE21』2022年6月号特集「普通のサラリーマンが『副業で稼ぐ』ベストな方法」より、内容を一部抜粋・編集したものです。
サラリーマンをしながら副業で年間売上5億円⁉
――最初にmotoさんのこれまでのキャリアと副業について教えてください。
【moto】新卒で就職したのは地方のホームセンターで、年収240万円からのスタートでした。その後は転職を重ね、大手人材会社、リクルート、IT系ベンチャー、広告ベンチャーなど複数の会社を経験しながらキャリアアップし、30代になる頃には本業で年収1000万円を達成しました。
そのかたわら、副業として2017年からブログやツイッターを運営し、自分の転職経験や転職ノウハウを発信したところ、読者やフォロワーが増加。ブログのアフィリエイト広告による売上も伸び、18年に副業であるブログメディア事業を法人化しました。また、19年にはメディアの広告代理店も立ち上げました。
20年にはメディア事業で売上3億円、広告代理店事業で売上2億円ほどあったので、副業の2社で年間約5億円を作っていました。役員報酬も当時は年収1憶円にしていました。
――サラリーマンが副業で億単位を稼ぐとは驚きです。そもそもなぜ副業を始めようと思ったのですか。
【moto】理由は2つあります。まずは、一つの収入源だけに頼るのは危険だと思ったこと。今は大企業でさえ経営難に陥ったり、大規模なリストラを行なったりすることが珍しくない。「サラリーマンでいれば安泰」という時代は終わったと感じていたので、収入源を分散してリスクヘッジすべきだと考えました。
もう一つの理由は、周囲に副業をしていた人が多かったこと。私が副業としてブログを始めたのは、IT系ベンチャーに転職して間もない時期でしたが、その会社では皆当たり前のように本業以外のビジネスをしたり、自分の会社を作ったりしていました。それで周囲の勧めもあり、自分も副業をやってみようと思ったのです。
実体験ベースの「あるある」でフォロワーを増やそう
――なぜ副業としてブログを選んだのでしょうか。
【moto】周りが副業をしているとはいえ、私は転職したばかりだったので、仕事に慣れて成果を出せるようになるまでは、本業に時間や労力を割かなければいけません。それに一介のサラリーマンなので、大きな原資もない。使える時間とお金に限りがある中、手軽に始められて、かつ自分が世の中に価値を提供できることは何かと考え、「情報発信」にたどり着きました。
実は学生時代や大手人材会社に勤務していた頃にも個人ブログを書いていたので、まずは経験や興味のあることから始めてみようかなと。ほぼ同時期にツイッターも始めて、両者を連携した情報発信をしました。
――どのように連携を?
【moto】まずはツイッターで短くつぶやき、その話題がどれくらいバズるかを確認。そして反応が大きかったものや「もっと詳しく知りたい」とリクエストがあったものは、ブログで書く。そうやってユーザーをブログへ呼び込む導線を作りました。
ブログでヒットした記事の一つに「転職活動中に僕が出会った"使えない転職エージェント"」がありますが、これもツイッターで「ダメな転職エージェントの特徴」みたいなことをつぶやいたら、フォロワーから「いるいる」「これは確かにダメだった」といった共感が返ってきました。そこで「これなら読んでもらえそうだ」と思ってブログに書いたところ、これがヒットしました。
こうした積み重ねを繰り返すことで私の発信する情報に対して共感や賛同を示してくれるユーザーを増やし、「moto=転職の人」というブランドを築いたことが、結果として事業を大きくする要因になったと思います。
――最初から「転職」をテーマに情報発信したのですか。
【moto】 いえ、そこに至るまでは試行錯誤がありました。最初に選んだテーマは「新卒」。リクルート時代に新卒領域で渉外担当をしていて、知見がありました。エントリーシートの書き方や就職先の選び方などを発信しましたが、就活生は年間50万人ほどでマーケットが小さい。
しかも就活生は毎年入れ替わるため、そのたびにリーチする必要があるので手間もかかる。それにリクルート時代は本業を通じて学生と接点があり、就活の悩みやトレンドなどのフレッシュな情報が入ってきましたが、転職後はその機会がなくなり、ブログに書くネタも枯渇していきました。
そこで次は「人事」や「営業」について書いてみたのですが、やはりマーケットが小さく、ヒットも少なかった。ならばと、自分の転職経験をもとに「年収を上げる転職方法」について書き始めたところ、ヒットする記事が増えたんです。そこで「転職」というテーマに落ち着いたという経緯です。