サラリーマンを続けながら不動産投資を始め、たった3年で10億円もの資産を築いた荒木陽介氏。不動産投資において重要なのは、地震などのリスクに備えて分散投資をすることだという。また、複数の物件を所有するために欠かせないローンとは。
※本稿は、荒木陽介著『3年で10億円を築いたサラリーマンが教える 「お金を生む時間」のつくり方』(朝日新聞出版)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
不動産投資でも分散投資が基本
私の知り合いで、不動産投資以外の事業でも成功しているとても優秀なマーケッターの方がいました。年収も高くて資産もあり、投資意欲も満々のアグレッシブな人なのですが、「地盤」へのこだわりが強すぎました。
物件が立っている地盤については、専門サイトで住所を入れて検索するだけで、地震時の揺れやすさや液状化の可能性などが簡単にわかります。その方は必ずそれを見る。それで少しでも低評価の項目があるとどうしても気になって、「どんないい物件でも買えない」と言っていました。
結局、その方は超優良な地盤の物件を買ったけれども、コンクリートに穴が開いている不良物件だった。それで訴訟沙汰になって、売った業者に買い戻させました。
私の場合、地盤のリスクは保険でマネージ(管理)すればいいと考えているので、ほとんど気になりません。つまり関心があるのは、「コスト=保険額」のほうなのです。
それよりも、私が考える不動産投資の一番のリスクは「場所を固定する」ことと「1件しか持っていない」ことです。たとえば大震災があったとき。所有物件が1つしかないと、建物の被害は保険でカバーできるけれども、肝心の収入が止まってしまいます。なので、私は複数の物件を持ち、場所もすごく散らしています。いわゆる分散投資です。
三重県四日市、横浜市鶴見区、岡山県倉敷市のほか、新潟市や宇都宮市、静岡県浜松市などに物件を所有しています。東京には複数持っていますが、全体の3割程度。つまり、どこかで大震災が起きて1件つぶれても、キャッシュフローが滞らないようにしているのです。
このように物件の場所をばらして複数買っておけば、かなり安心だと思います。
サラリーマンは借金しやすいのが最大のメリット
ただし、複数の物件を持つには、複数の融資を受けなければなりません。つまり、積極的に「借金」を活用する必要があるわけです。
私もそれに成功したと言えますが、資産を増やすには、金融機関からの融資を使って自己資金を大きくする、いわゆる「レバレッジ(テコの原理)」をうまく使えるどうかが成否を分ける大きなポイントになります。
その点で、同じ会社で長く働いている、順調に昇進しているといった会社員としての経歴が金融機関に対して非常に有利に働きます。
金融機関は融資を決める際、個人的な要件よりも、第一にその人がどういう組織に属しているかというところを見て判断します。つまり、不動産投資では「安定した会社の社員である」という事実そのものがすごく強い武器になるのです。
融資に関しては、私と同時期に不動産投資を始めた会社員以外の人たちを見ていて、明らかに会社員のほうが恵まれていると感じました。いまでも仲介会社の営業担当者に「絶対、会社は辞めないでくださいね」と言われることがあります。
要は「与信」の問題なので、たとえば、同じ会社の社員でも小手先の副業にかまけて社内の信用を毀損しているような人は、金融機関にも信用されず、融資も受けにくくなると思います。やはり「会社から信用されている社員」という点が重要なのです。
じつは、こうした会社員であることのメリットについて、私は実際に不動産投資を始めるまで、まったくと言っていいほど気づいていませんでした。ハウツー本などで読んだ覚えもないし、セミナーなどで教わった覚えもありません。