「できる人、できない人」の大きな差を生む”打ち合わせ中の時計の見方”
2012年03月27日 公開 2022年12月27日 更新
打ち合わせ中は絶対時計を見てはならない。
打ち合わせや会議の約束をするときは、当然のことであるが、その日時と場所と用件について取り決めをする。
だが、日時については、集まる時間は決めても、何時までに終わらせるかについて合意していない場合が少なくない。
どのくらいの時間がかかるかについて、それぞれが勝手に見当をつけているのだ。
それは極めて中途半端な仕事の仕方であるといわざるをえない。
ビジネスにおける時間の重要性は強調しても強調しすぎることはないので、もっと厳しく考えておく必要がある。
1分1秒に千金の価値があり、千鈞(せんきん)の重みがあると考えておくくらいの心掛けを忘れてはならない。
時間にルーズな人に対して私がとっている策は、
時間を決めるときに分単位でいうことである。
すなわち、11時半といわないで、11時27分と細かく刻んだいい方をする。
11時半といったのでは、11時半をちょっとすぎたころであっても平気な顔をして現れる。
だが、11時27分といえば、その時間の前までに来なくてはいけないという考え方になるはずである。
要は、時間について厳格に考えて守ろうとする意識を高めるためである。
しかしながら、相手とそれほど親しくなかったり、相手が目上であったりする場合にこのようなことをいったのでは、ふざけていると解されたり、失礼な奴であると断じられたりする危険性がある。
したがって、私の場合でも、実際には私の教室の人たちにいうときに限られている。
時間が大切なのは、自分にとってだけではなく相手の人にとっても同じである。
自分の時間を大切にするあまり、人の時間を犠牲にするのは、
特にビジネスの場では恥ずべき行為だ。
時間についてサバを読む人は、自分の都合ばかり考え、得てして人の時間を無駄にする結果になるので注意を要する。
互いに駆け引きなしで、正直に考えたうえで決めた時間について、その時間内に打ち合わせが終わるように努力する。
打ち合わせが時には時間どおりに進行していないときもあるが、そのようなときでも時計を見てはならない。
それは時間を必要以上に気にしているというサインになるので、相手の仕事に対する意欲を、幾分かであれ削ぐことになる。
予定した時間どおりに打ち合わせを終えるのも重要であるが、それ以上に大切なのは、打ち合わせの内容や結果が双方にとって満足のいくものになることだ。
ほかのことを考えないで、相手と共有し共用している時間に集中するという姿勢を崩してはならない。
これは目の前にいる人を最重要視し最優先することで、ビジネスの場のみならず人生のあらゆる場で必要な心掛けである。
終わりの時間も決めておこう。
山崎武也
(やまさき・たけや)
ビジネスコンサルタント
1935年、広島生まれ。1959年、東京大学法学部卒業。国際関連業務に携わる一方、著作にも積極的に取り組み、同時に茶道裏千家などの文化面での活動も続ける。
「上品な人、下品な人』(PHP研究所)は、20万部を超えるベストセラー。最近の主な著書に、『弁護士に依頼する前に読む本』(日本経済新聞出版社)『60歳からの人生の愉しみ方』(三笠書房)『「逆考」のすすめ』(PHP研究所)『人生に必要なことはすべて茶席に学んだ』(講談社)などがある。