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もう一度会いたくなる人の仕事術  “ありがとう” は行動で示す

千田琢哉(イノベーション・クリエーター)

2012年03月19日 公開 2024年12月16日 更新

幼少期において、他人に助けてもらったら「ありがとう」と言うことを忘れないように、と教えてもらう。しかしビジネスマンがそれだけではいけない。「ありがとう」を行動に移してこそ意味があるのである。数々のビジネス書をヒットさせてきた人気作家・千田琢哉氏は"二度目"がある人間になるために、感謝を実行する重要性を語る。

※本稿は、千田琢哉著『もう一度会いたくなる人の仕事術』より一部抜粋・編集したものです。

 

「一度仕事したことがある」と「二度仕事したことがある」は雲泥の差

出会いには2通りある。一度で終わる出会いと、二度以上続く出会いだ。好きでもない相手と一度のデートなら、何とか我慢できる。それが断る口実にもなるからだ。ところが二度目のデートとなると、話は別だ。

相手のことが好きじゃないと二度目は厳しい。二度目のデートをした瞬間、将来を考えるようになる。一度のデートと二度目のデートとでは、その意味がまったく違ってくる。

仕事も同じだ。「あの人と一度仕事をしたことがある」というのは信頼できない。一度ならお情けで会ってもらうこともできるだろうし、紹介で会ってもらうことができる。ところが二度目の仕事となると、話は別だ。相手に魅力を感じなければ、二度目は厳しい。

二度目の仕事を共にした瞬間、生涯のパートナーとして考えるようになる。どうせなら二度目のチャンスをもらえる人間になろう。一度で終わってしまう圧倒的多数の人たちと、二度目をゲットできるごく少数の人の差は、ほんの小さな習慣の積み重ねだ。

小さな習慣は、誰にだって習得することが可能だ。小さな習慣を身につけて、共に咲く人生を歩みたい。

 

「ありがとう」は口だけではなく具体的行動で

「何かしてもらったら、ありがとうといいなさい」と家庭でしつけられた。ところがそれは学生時代までの話だ。社会人になってからは「ありがとう」を「ありがとう」で終わらせてはいけない。「ありがとう」を口にするのは当たり前の話であって、ほんのスタートラインに過ぎない。

ところが意外なことに世のビジネスパーソンには「ありがとう」で完結したと思い込んでいるおめでたい人が多い。だから世の中に成功者は少ないのだ。「ありがとう」は必ず口にするだけではなくて、必ず具体的な行動で返すことだ。

何かをもらったら何かをお返しするのは、すべてにおいて共通のことだ。仕事上では口先で「ありがとう」といっておきながらお返しできないことであれば、タダで受け取ってはいけないということも覚えておくといい。口先だけの「ありがとう」で済ませた分は、必ず他のどこかから搾取される。

世の中はすべてにおいてバランスで成り立っているからだ。例えばあなたがAさんから何かしてもらって「ありがとう」で終わらせたとしよう。まもなく別のBさんが現れてあなたから別の何かを奪っていくだろう。「ありがとう」といい残して。

実はあなたの知らないところでBさんはあなたから奪ったものをAさんにプレゼントしていたのだ。逆にあなたがAさんに何かしてあげて「ありがとう」といわれて終わったとしよう。まもなく別のBさんが現れてあなたに別の何かをプレゼントしてくれる。

実はあなたの知らないところでAさんはあなたから奪ったものをBさんにプレゼントしていたのだ。実際には登場人物は3人ということは少なく、より多くの人たちが複雑に絡み合ってくるのだが基本構造は同じだ。

Aさん、Bさん、Cさん、……Xさん、Yさん、Zさんと、地球上すべてでバトンを渡し続けながらリレーをしていると考えていい。目上の人から何かしていただいた場合には、その目上の人にではなくて別の誰かに何かしてあげることによってバランスが取れる構造も見えてくるだろう。

実はお金の構造もまったく同じだ。自分のところで貯め込むのではなくて、どんどん流通させて循環させていく。そうすれば人もお金も雪だるま式に集まってくるというものだ。

「ありがとう」と100万回唱えるよりも、1回でも具体的行動を起こし循環させていくことが、すべてを次につなげていくコツだ。小手先のテクニックなど何も必要ないのだ。

<<お礼を言うのはスタート地点だと心得よう。>>

 

 千田琢哉

(せんだ・たくや)  

次代創造館代表、イノベーション・クリエイター

愛知県犬山市生まれ、岐阜県各務原市育ち。東北大学教育学部教育学科卒。日系損害保険会社本部、大手経営コンサルティング会社勤務を経て独立。コンサルティング会社では、多くの業種業界における大型プロジェクトのリーダーとして戦略策定からその実行支援に至るまで陣頭指揮を執る。のベ3,300人のエグゼクティブと10,000人を超えるビジネスパーソンたちとの対話、コンサルティング業界という人材の流動性が極めて高く、短期間で成果を求められる環境に自ら身を置くことによって得た事実とそこで培った知恵を活かし、“タブーへの挑戦で、次代を創る”を自らのミッションとして執筆活動を行っている。また、多数の上場企業・商工会議所・TSUTAYAビジネスカレッジ等の研修講師、複数の組織で社外顧問を務めている。

著書はベストセラーとなった『死ぬまで仕事に困らないために20代で出逢っておきたい100の言葉』(かんき出版)はじめ30冊を超える。現在までの著書累計は70万部を超える(2012年2月現在)。 

 

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