「メモ」「あいづち」で相手の好意を誘う
しぐさも演出のテクニックとして重宝します。
人は、自分の話を一生懸命聞いてくれる人を好きになるものです。いかにも興味なさそうな態度をとっている人には話しかけるのも嫌です。
ですから、人に話をしてもらおう、価値のある情報を提供してもらおうと思ったら、「一生懸命聞いている」態度をとることが重要になります。
まずは、「メモをとる」。メモをとる人からは「きちんと記録しよう」「後で見直そう」という意志が感じられます。話すほうも「ちゃんと聞いてもらえている」と安心し、喜んで話をしてくれるでしょう。
同時に、「うなずき」「あいづち」をしっかりとします。
あいづちは、「なるほど」「そうですか」「わかります」など、簡単な言葉で結構です。相手の意見へ同意していること、理解していることなどを、はっきり伝えることができればいいのです。
私は日頃から編集者やライターさんに会い、取材を受ける機会が多いのですが、取材が上手な人のなかにはほとんどしゃべらず、あいづちとうなずきだけでどんどん話を引き出してしまう人がいます。
よくよく観察してみると、あいづちを入れるタイミングや言葉選び、うなずき方などが絶妙なのです。こちらの気持ちが盛り上がるよう、細心の注意を払っているのでしょう。
私もついつい乗せられてしまい、時間をオーバーして、ていねいに、おもしろく、広範囲の話をしてしまうことがあります。
憧れの存在になりきる「同一視」
憧れの俳優やタレント、モデルなどを真似る行為も、「自分を高めるウソ」のひとつと言えるでしょう。
人気者には、必ずそれを真似するファンが現れるものです。髪型やファッションといった表面的なものだけではなく、言動まで真似する人も少なくありません。まるで、心身ともに憧れのタレント本人になりきろうとするかのようです。
心理学的には、これは「同一視」と呼ばれます。憧れの対象に自分を同化させて満足を得ようとする行動のことを指します。
これを徹底すると、本当に憧れの対象に自分を近づけていくことが可能になります。
あなたがあるタレントに憧れるのはなぜなのか、考えてみてください。「きれいだから」「かっこいいから」「頭がいいから」など、いくつか思い当たるところがあると思うのですが、一言で言ってしまえば、そのタレントがあなたの「理想像」だからではないでしょうか。外見のみならず、内面にまで強く魅かれているようなら、なおさらです。
つまり、あなたはタレントに憧れているだけのように見えて、実は「理想の自分」を追いかけていたのです。こうして、憧れのタレントの真似をする行動が、「自分を高める」ことへとつながっていくのです。
憧れの対象は、職場や友人関係のなかにもいるはずです。もし、そんな人を見つけたら、自分が彼らに魅かれる理由を書き出してみることをおすすめします。自分を高めるためのヒントが見つかるかもしれません。
よく、「強く思えば願いは叶う」「自分を信じればうまくいく」という言葉を聞きます。なかには、「そんなきれいごと!」と笑う人もいるでしょう。しかし、「自己成就予言」や「同一化」のメカニズムを考えてみれば、それは根拠のあることだといえるのです。