あなたの周りにも、人を自然と惹きつけてしまう魅力的な人がいるかと思います。いつも人一倍楽しそうな彼らの魅了する力はいったいどこから来るのでしょうか。働く女性へのアドバイザー有川真由美さんが、魅力的な人になる方法を紹介します。
※本稿は、有川真由美著『一緒にいると楽しい人、疲れる人』(PHP研究所)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
まずは自分のことを楽しませよう
だれもが「魅力的な人」と一緒にいたいと思うものです。
「魅力的な人」というと、外見がおしゃれとか、独特の雰囲気があるとか、知識が豊富とか、頼りがいがあるとか、いろいろなタイプの人がいるものですが、楽しそうに生きている人ほど魅力的な人はいないのではないでしょうか。男性でも、女性でも。
たとえば、私が「一緒に仕事をしたい」と思うのは、仕事を楽しんでいる人たちです。
編集者であれば「この一文は違った表現のほうがいい」なんて、だれも気にとめないことに、とことんこだわる。「いつかこんな本をつくりたいですよね」と目をキラキラさせて夢を語る...。そんな情熱のある楽しそうな人には、理屈抜きにひきつけられます。
仕事だけでなく、楽しそうに料理をつくっている、楽しそうに育児をやっている、日々の生活を楽しんでいるなど、楽しそうな人とは、たとえ世代が違ったり、仕事のジャンルが違ったりしても、仲良くしたい。
さらに、しんどい状況であっても、明るさを保って楽しんでいる人なら、なおさらすごいと尊敬し、魅力を感じてしまいます。
楽しい人は、生きるエネルギーが強い人でもあります。曇りがちになる心に暖かい風を送りこむように、うれしいこと、楽しいことで心を満たそうとする人かもしれません。
つまり、いつも楽しそうな人は、楽しいことがあるから楽しいのではなく、自分を楽しませるのが上手な人なのです。
私はかつて、「なにが楽しいと感じるのか」を、無視して生きている時期がありました。
「なにが自分のためになるのか」と損得に目を向けて、人生の選択をしていました。自分が楽しくなかったのですから、さぞかし一緒にいる人も楽しくなかったことでしょう。
真面目にやろうとしてもうまくいかないことばかりだったので、開き直って「ワクワクする楽しいことをやってみよう」「そうでないことは楽しむ工夫をしてみよう」と楽しさを追い求めるようになってから、さまざまなことがうまく回り始めました。
結局のところ、楽しい道こそ、自分を輝かせてくれる道だと確信しているのです。
まずは、「楽しいか、楽しくないかは自分に責任がある」と考えると、毎日を楽しくしてくれる方法は案外、簡単に見つかるのかもしれません。
自分のものさしで考えたほうがうまくいく
「人と比べない」のは、魅力的な人の条件だと思います。
比較自体が悪いわけではありません。「あんなふうになりたい」「自分となにが違うのか」と比べることで、自分のエネルギーに換えていくこともあります。
しかし、なんでも他人と自分を「勝った・負けた」「上・下」と勝手に比べる人は、心が休まらないだけでなく、いつもなにかしら自信のない状態です。
人と比べず、「人は人、自分は自分」のスタンスでいるからこそ、自分の本当の価値を見つけて、それを生かしていけるのです。
アップル創業者のスティーブ・ジョブズのこんな言葉があります。
「美しい女性を口説こうと思ったとき、ライバルの男がバラの花を10本贈ったら、君は15本贈るかい? そう思った時点で君の負けだ。ライバルが何をしようと関係ない。その女性が本当に何を望んでいるのかを、見極めることが重要なんだ」
この言葉には「相手が望んでいることを提供する」ということだけでなく、もう一つ、「自分のものさしで、生きていくこと」という重要な教訓があります。
他人がどうやっているのかに目を向けるのではなく、「自分にはなにができるのか?」「自分にどんな方法が合っているのか?」など、自分の内側に視点を向けることで、自分の魅力や能力は全開になっていきます。
こんなことも言えます。女性が管理職になったとき、前職の男性管理職と同じような視点で考え、同じようなやり方でチームをまとめようとがんばっても、うまくいかないことが多いものです。
自分ならではの視点からアイデアを提案したり、これまで気づかなかった問題点を解決したりと、自分のものさしで考えたほうが、力を発揮することができるでしょう。
人と比べるクセのある人は、いますぐ改めて、つぎのようなクセに改善してください。
・他人の長所や成功を見たら、心からほめること
・1日1つ、自分ができたことをほめること。自分に起きたことに感謝すること
「他人にもすばらしいことがある。自分にもすばらしいことがある」と、自分と他人を切り離して考えるクセがあれば、伸び伸びと自分の成長や幸せを追求していけるでしょう。
私たちはそれぞれ人生という舞台の主人公であり、演出家でもあります。自分をとことん愛して、自分に合ったドラマをつくっていくことが、主人公の魅力になっていくのです。