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“コネとカネ”がなくても当選? 昨今、政治家になる敷居が下がった理由

佐藤孝四朗(国会議員秘書)

2022年09月21日 公開 2024年12月16日 更新

昔から選挙で当選するには知名度や肩書、潤沢な資金が必要とされてきた。しかし昨今は、これらを持ち合わせていない政治家にもチャンスが与えられるように変化しているという。国会議員秘書の佐藤孝四朗氏が解説する。

※本稿は、佐藤孝四朗著『選挙に出てみたくなる出馬超入門』(インプレス)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

選挙の三バンとは

昔から選挙で当選するためには、「ジバン(地盤)、カンバン(看板)、カバン(鞄)」の3つのバン、「選挙の三バン」が必要と言われてきました。

【選挙の三バン】
・ジバン(地盤)
政治家・候補予定者が定着して活動して一定の支持者を持つ地域や、具体的には選挙区内で応援してくれる人たち(支持者)の集まりのこと

・カンバン(看板)
知名度や肩書のこと

・カバン(鞄)
軍資金、選挙に必要なお金のこと

しかし昨今は、以前よりも政治家になる敷居が低くなり、かつて必須とされた選挙の三バンがなくても政治家になれる時代になってきました。

とはいえ、かつて言われてきたような立派なものは必要ありませんが、それに代わるものは必要です。具体的にご紹介しましょう。

 

「ジバン」は自ら築く

まずはジバン(地盤)についてです。選挙に立候補する際には、支持者の集まりを基に、まず「後援会」を作ります。この時点で、政治家二世でもなく、地元の有名人でもなければ難しい、と考えがちですが、一般人には地盤なんてない、と悲観することはありません。

既成の組織が無くても、これから作っていけばいいのです。政治に対しての熱い想いがあれば、その想いの熱が伝わることが人の心を動かす原動力となります。

業界、職能、市民団体、政党支部、企業などや、個人の関係から地縁、血縁、同級生、同僚、趣味やスポーツ、ボランティアの仲間など、対象となるものはたくさんあります。

まずご自分の人生を振り返ってみてください。保育園や幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、専門学校などの同級生、社会人になってからの同僚や取引先などの仕事関係、最も身近な家族、親戚まで、人生で関わってきた人たちがあなたの選挙での大切な支持者になります。

そして今の自分の所属を確認しましょう。持っている人脈や、属しているコミュニティを振り返ってみてください。業界団体、商店街組合をはじめ、お神輿をかつぐ会、草野球チームなどの趣味や習い事の仲間たち。

彼らが「支援者のグループ」になり、それが大きければ大きいほど、いくつもあればあるほど、強力なジバンになります。もし振り返っても、どれも難しい、どこにも入っていない、ということなら、これから入ればいいのです。

地方選挙なら、地域に密着したコミュニティほどいいです。消防団に入ったり、自身の住んでいる町会、自治会や商店街のイベントにお手伝いとして参加する、地域のお祭りでお神輿を担ぐ、などして、コミュニティの一員になりましょう。それが選挙で最も大事なジバンになっていくのです。

実は選挙の勝利にとって最も重要なことは、こういった「地盤培養行為」であり、この活動をどれほど多く行ってきたかで、選挙の行く末が決まるといっても過言ではありません。

どのような選挙であっても「地盤」は存在し、その地盤を広げていくということが「選挙に強い」ということです。地盤培養行為とは、まさしく選挙に勝つ素地を作る行為と言えます。

地盤とは自分の政策や政治姿勢に賛同する人間を増やすという本来の目的と同時に、有権者が日ごろから持っている行政への不満や、生活する上での要望を吸い上げ、政策実現につなげるという政治家本来の仕事に直結する部分でもあります。そのような日ごろの努力によって「地盤」が作り上げられていくのです。

もちろん、しっかり時間をかけて政策作りに取り組むことも大切ですが、自身の活動で見せていくことが1番です。

知名度がなければ、毎日駅立ち、辻立ちなど街頭演説を行ったり、地域の家庭を訪問したり、自身の想いを伝えよう、人の声を聞こうと必死に行動をしていれば、必ず人は見ています。そしてある時、今まで全く反応がなかった人から声をかけられるなど、周囲の人が変わる時があるのです。

ラクではありませんが、はじめからジバンに恵まれていなくても諦めることはありません。「政治家になる」という目的を遂げるために歩きに歩いて、その手ごたえを感じることができるように頑張りましょう。是非これからチャレンジしてみてください。

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