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現代人なみ? 聞いてびっくり「古代ローマ人」の暮らし

金森誠也(著述家/翻訳家)

2012年05月09日 公開 2024年12月16日 更新

<<遥か昔に隆盛を誇ったローマ帝国。その暮らしぶりは、およそ2000年前とは思えぬ驚くべき水準の高さを誇り、現代にも多く共通する点がある。家賃水準が東京23区と同じくらい高かったり、女性の権利が向上したために少子化問題に悩んでいたり…と。
そんなローマ市民の暮らしぶりにスポットライトを当てた本『一日古代ローマ人』より、その一部を紹介する。>>

※本稿は『一日古代ローマ人』(PHP研究所刊、金森誠也 監修 岡崎博之(幸運社)編集協力)より一部抜粋・編集したものです。>>
 

【古代ローマ人の「食」】ローマ人の朝食にコーヒーはなかった

当時のローマ人は、夜明けとともに起きるという生活を送っていた。彼らは祈祷の後で、奴隷が用意をしたイェンタークルムと呼ばれる朝食をとる。イェンタークルムに並ぶのは、一般家庭ではパン(平らで丸い形。現在のフォカツチャに似ている)に少量のニンニクと塩を付けたもの、そして水だけだった。

ローマ人の食事は豪華で優雅という印象があるかもしれないが、それは上流階級だけに限ったことで、たとえローマ市民でも朝食が食べられるだけでありがたいという者たちも多数いた。

それに対し、上流階級ではパンに加えてたっぷりの蜂蜜、調理された卵、チーズ、牛乳、オリーブなどの高級食材のほか、昨夜の宴会の残り物が並ぶこともあった。そして、食後にはブドウやリンゴなどのデザートを味わった。

初期のローマでは、パンは小麦粉ではなくエンメル麦という小麦に近い品種の穀物から作られていた。それが小麦に置き換わったのは、紀元元年前後のことである。

欧風の朝食に欠かせないコーヒーの名が出てこないことに驚く人もいるかもしれないが、現在のようにコーヒー豆を煎って煮出すようになったのは13世紀半ばのことで、それがヨーロッパに伝わったのは17世紀に入ってからである。すでに古代ローマ帝国はこの世になく、辛うじて神聖ローマ帝国(ドイツ国家)にローマの名が残っているにすぎなかったから、古代ローマ人が朝食時に口にしたのは水か牛乳だった。

朝食を終えた後、ローマ人たちは念入りに歯を磨いた。朝からニンニクを付けたパンを食べるのだから当然といえば当然かもしれないが、その歯磨きの原料というのがまた意外なのである。

彼らはなんと、人の尿を原料とした歯磨き粉を好んで用いていたというのだ。尿なら簡単に手に入ると思いきや、当時のローマ人たちはなぜか「ポルトガル人の尿が最も歯によい」と信じ込んでおり、大量の時間と労力、そしてお金を使ってポルトガルから尿を輸入していたというから驚きだ。

ちなみに、現代の歯科でも尿素は歯の美白に使われているから、ローマ人はこの点でも進んでいたといえるだろう。

尿を原料とした歯磨きでは、ニンニク臭さはとれてもほかのにおいが付いてしまうような気がしてならない。その心配は半ば当たっていたようで、ローマ人たちは香料ドロップを愛用していたという。このドロップのなかには虫歯を予防する薬草なども含まれていたが、現在のドロップのように美味しいものではなかったようだ。

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【古代ローマ人の「住」】古代ローマはヨーロッパの摩天楼だった

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