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片付かない部屋に“足りない家電”とは? コンサルが解説する物置化の回避術

伊藤かすみ(オンライン片付けコンサルタント)

2025年06月09日 公開

片付かない部屋に“足りない家電”とは? コンサルが解説する物置化の回避術

いつまで経っても片付けが進まない部屋...もしかすると、その部屋には一つの共通点がある間もしれません。

オンライン片付けコンサルタントの伊藤かすみさんは、20年のインテリアコーディネーター経験を活かし、片付け講座や片付け実践スクール、オンラインでの片付けサポートを行っています。

そんな伊藤さんに、片付けが進まない原因と改善策を教えていただきました。

※写真はイメージです

 

片付けが進まない部屋「やる気」じゃない、本当の理由って?

オンライン片付けコンサルタントの伊藤かすみです。20年間、住宅会社でインテリアコーディネーターとして働いた後、現在は思考の片付けコンサルタントとして、片付け講座や片付け実践スクール、オンラインでの片付けサポートを行なっています。片付けの専門家として、これまで多くの方の悩みを解決してきました。

あなたの家には、「どうしても片付けが進まない部屋」が存在していませんか?季節の洋服や、子供が使わなくなったおもちゃ、使う頻度が低い旅行グッズなど、いつか片付けようと思っていたまま、それらが長い間積み上がった状態になっていないでしょうか。

片付けが苦手な人は、つい片付けにも「やる気」を求めがちですが、実はその「どうしても片付けが進まない部屋」には、やる気ではなく、別の要因が隠されているかもしれません。今回はそんな、片付けが進まない"開かずの間"化した部屋を片付けるコツをご紹介したいと思います。

 

居心地の悪さが、人を遠ざける

「どうしても片付けが進まない」――。もしも、何年もそんな状態が続いている部屋があるならば、そこには共通点があります。それは「快適ではない空間」になっているということ。暑い、寒い、ジメジメしている......。そういった空間に、わざわざ長居したい人はいませんよね。

実際、私が片付けの現場を多く見てきた中で、風通しや日当たりが悪い部屋の「居心地の悪さ」が原因で片付けが後回しになり、結果的に"開かずの間"ができてしまうケースは少なくありませんでした。

今日こそ片付けをしようと意気込んでも、いざその部屋に足を踏み入れた瞬間、あまりの暑さや寒さに「やっぱりまた今度」と引き返してしまう。片付けができないのは、やる気や性格や忙しさが問題ではなく、「その部屋にいたくない」という、極めてシンプルな人間の感覚も要因の一つになるのです。

人は居心地の悪い場所からは自然と離れたくなるもの。そこに無理やり「片付けよう」という気持ちを向けても、なかなか行動には結びつきません。逆に言えば、快適な空間さえ整えられれば、「よし、ちょっと片付けてみようかな」と思える状態に変わっていくのです。

「暑い・寒い・暗い」といった居心地の悪さ以外にも、物置化してしまう要因があります。それは、部屋の目的や役割が曖昧になっているということ。

たとえば、子どもが独立したあとの部屋や、趣味で使っていたけど今は使っていないスペース、クローゼットが小さくて衣類などモノの置き場に困っているような部屋......。「今は何のための部屋なのか」がはっきりしていないと、使い道に迷っているうちに「なんとなく置く場所」になってしまいます。

ここへ、先ほどの「暑い・寒い・暗い」といった居心地の悪さが加わると、「役割が曖昧な空間×不快な環境」という組み合わせになり、ますます人が近づかなくなり、自然と物だけが積み上がっていってしまうのです。

 

目的のない部屋は、モノに占領されやすい

片付かない部屋は、ある日突然物置化するわけではありません。最初はほんの小さな「とりあえず置き」から始まることが多いものです。郵便物の一時置き、季節外れの洋服、使わなくなった雑貨......。それらが少しずつ積み上がっていき、気づけば「立ち入るのが面倒な部屋」になっていくのです。

しかし、この「とりあえず置き」が始まったときこそが、実は分かれ道。一度そこに物を置きはじめると、「あそこにスペースがあるし、置いておこう」と、モノがモノを呼ぶ状態になっていきます。

特に注意したい物置化のサインが、「床置き」の増加です。本来は歩けるはずの床に、荷物が置かれはじめたら、要注意。「とりあえずここに置いておこう」が続くうちに、気づけば足の踏み場がなくなり、「入りたくない部屋」から「入れない部屋」へと変わっていってしまいます。

すでに物置化してしまった部屋の片付けは、ドアを開けてみることからでも構いません。入口近くの箱をひとつ開けて、「何があるのか」を確認する。それが、片付けの小さな第一歩です。

中身を認識したら、次は「何を残すか」の基準を決めてみましょう。たとえば、「1年以内に使ったもの」や「残しておきたいものかどうか」など、自分なりの2軸を持つことで判断がしやすくなります。

そして、最初から「どこにしまおう?」と考えすぎなくても大丈夫。配置はあとから決めるとして、まずは"少しずつ減らす"ことに集中してみてください。

 

片づけに必要なのは、エアコン

物置化してしまった部屋の要因が「風通しや日当たりの悪さ」である場合、私は改善策として、「エアコンの設置」をお勧めしています。最近では、比較的安価で購入・設置できるモデルも増えてきました。

「そんなの贅沢」「たまにしか使わない部屋だし設置するのがもったいない」と思うかもしれません。しかし、そのまま物置として放置している空間こそがもったいないのです。「使っていない部屋=不要な部屋」ではありません。快適になった空間は、作業部屋や書斎、趣味のスペースとしても再活用できます。

荷物を保管してくれる収納サービスや、部屋の片付け業者を1回呼ぶ費用と比べれば、エアコンは長期的に見てもコスパの良い投資。部屋が快適になれば、「ちょっと片付けようかな」と自然と行動が始まり、片付けのハードルはぐっと下がっていくのです。

もちろん、さまざまな事情からエアコンの設置がどうしても難しい場合もあると思います。そんなときは、その部屋を「整った倉庫」として活用するという選択肢もアリ。

ポイントは、「何を置く部屋か」をはっきり決めて、日常的に使う物はなるべく置かないこと。出入りが少なくても、モノの所在がわかっていれば、管理はしやすくなります。

大切なのは、なんとなく物を置いてしまう"無法地帯"にしないこと。快適に使うか、きちんと管理された倉庫にするか――自分で選ぶことで、その部屋は"ただの物置"ではなく、意味のある空間として生き返るはずです。

 

“どう使いたいか”が決まれば、片付けは始まっている

物置化してしまう部屋には、共通して「暑い・寒い・使いにくい」といった不快さがありました。それによって人が遠ざかり、片付けも進まず、やがて"開かずの間"になってしまうのは、誰にでも起こりうること。

しかしそれを放っておくか、向き合って変えていくかは、自分で選ぶことができます。エアコンを設置し快適な空間に整えて、もう一度「使える部屋」としてよみがえらせる。あるいは、エアコンの導入が難しければ、整った倉庫として明確な役割を与える。

どちらの選択であっても、重要なのは「その空間に、意味を持たせること」です。不快だからと、なんとなく放置するのではなく、部屋の役割や用途を考えることから、片付けはもう始まっています。

開かずの間と化したその空間を、「どう使いたいか」という目的を与え、ぜひ自分らしく使える場所に変えてみてくださいね。

著者紹介

伊藤かすみ(いとう・かすみ)

オンライン片付け専門家

広島県福山市出身で、現在は東京と広島のデュアルライフを送る。住宅会社で20年間インテリアコーディネーターとして勤務した後、資格取得をきっかけに片付けの仕事をスタートする。セミナーやサポートの受講者数は延べ1千名。メールマガジンは2万4千人を超える読者がいる。片付け事業の売り上げは年商2億円。著書に『一生散らからない!飾るだけ片付け術 』(ぱる出版)、『自然と家族が整理しはじめる、魔法の片付けしつもん術』(ぱる出版)がある。

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