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「捨てる」だけじゃない、散らかった部屋を劇的に変える3つの方法

伊藤かすみ(オンライン片付けコンサルタント)

2025年04月16日 公開 2025年05月23日 更新

「捨てる」だけじゃない、散らかった部屋を劇的に変える3つの方法

「片付け=捨てる」という考え方に、疑問を感じたことはありませんか?オンライン片付けコンサルタントの伊藤かすみさんは、20年のインテリアコーディネーター経験を活かし、物を減らすことだけが片付けの正解ではないと語ります。

この記事では、伊藤さんが提唱する「残す」片付けの重要性と、部屋をスッキリ見せるための3つのインテリア術、そして照明の活用法を紹介します。片付けが苦手な人、物を捨てられない人にこそ読んでほしい、目からウロコの片付け術が満載です。

 

「片付け=捨てる」は本当に正解?

オンライン片付けコンサルタントの伊藤かすみです。20年間、住宅会社でインテリアコーディネーターとして働いた後、現在は思考の片付けコンサルタントとして、片付け講座や片付け実践スクール、オンラインでの片付けサポートを行なっています。片付けの専門家として、これまで多くの方の悩みを解決してきました。

これを読んでいる今、あなたのお部屋は片付いている状態ですか?仕事が忙しくて片付けの時間が取れなかったり、物を散らかす名人の小さいお子さんがいたり、収納スペースが足りていなかったり、そもそも片付け自体に苦手意識があったり......。理由はさまざまだと思いますが、片付けに対して何かしらの悩みや不満を抱えてはいないでしょうか。

「断捨離」や「ミニマリスト」といった考えが浸透してきた背景もあり、「片付け」と聞くと「持ち物を減らせばスッキリ暮らせる」というイメージが広まっているように思います。しかし片付けの正解は、物を減らすことだけとは限りません。

「減らさなければ」「捨てなければ」と思いすぎると、逆にストレスになったり、片付けが続かなかったりすることも。そこで今回は、部屋をきれいにするためのインテリアのコツを、ご紹介したいと思います。

まず初めに、スッキリときれいに片付いた部屋とは、どのような状態でしょうか?それは、「必要なものがすぐ見つかる空間」であり、「物が、整頓しやすい適切な量である」こと。そのため、まず手っ取り早く物を減らすことに注目しがちですが、実は、「減らす片付けが合わない人もいる」のも事実。

例えば、思い出の品を捨てることが大きなストレスになる人や、趣味で集めたものが暮らしの楽しみになっている人にとって、「捨てなければ」というプレッシャーは逆効果になってしまいます。

もちろん、あまりにも物が多すぎる時には量自体を減らすことも必要ですが、その場合のポイントは「何を捨てるか」ではなく、「何を残したいか」という視点。捨てることを前提にするのではなく、「自分にとって大切なものを厳選する」という考え方にシフトすると、気持ちが軽くなり、片付けも続けやすくなります。

 

部屋をスッキリ見せる3つのポイント

「何を残したいか」という視点で物を減らせたら、次に取り入れて欲しいのは、部屋をスッキリ見せるためのテクニックです。さまざまな手法がある中で、今回は3つほどお伝えしましょう。

1.色の数を抑える

まず1つ目は、色の数を抑えること。例えば、ベースの色を白やナチュラル系に統一し、アクセントカラーを小物やクッションなどで加えると、全体的にまとまりのある空間になります。色が多すぎると、雑然とした印象になりやすいので、なるべく色の洪水を避けることが大切です​。

2.フォーカルポイントを作る

部屋全体を完璧に片付けるのは難しくても、目が自然と向かう「フォーカルポイント(視線が集まる場所)」を作ると、整った印象を与えることができます。例えば、壁に大きめのアートを飾る、リビングの一角にグリーンなど観葉植物を置く、ソファのクッションの色や柄を統一するなど、一カ所に視線を引く要素を作ることで、多少散らかっていても気になりにくくなります​。

3.収納は「動線」を意識

収納の基本は、「ものを元の場所へ戻す」こと。ここで重要なのは、「動線を意識して収納する」ことです。「せっかく片付けても、またすぐに散らかってしまう」とお悩みの人は、ただ物をしまっただけの「とりあえず収納」をしているのかもしれません。「とりあえず押し込む」「とりあえず空いている場所に置く」といった収納方法では、結局また探し物が増えてしまい、ストレスにつながります。

また、ものを収納する定位置が決まっていても、取り出しにくい場所にあったり、使う場所から遠かったりすると、結果的に「ものを元の場所へ戻す」のが面倒になり、散らかりやすくなってしまいます。よく使うものはすぐに取り出せる場所に置く、反対に使用頻度の低いものは隠して収納するなど、収納にメリハリをつけると、部屋がスッキリするだけでなく、片付けがラクになるはずです。

 

「片付け」だけじゃないスッキリ見せるために必要なものって?

部屋をスッキリ見せるコツや収納のポイントのほかに、実は部屋の印象に大きく影響を与えるものがあります。

それは「照明」。例えば、カフェやホテルのラウンジにいると、なぜか落ち着いた気分になると思います。カフェは装飾品など飾られているものが多少多くても、スッキリした印象に見えることも。一方で、自宅のリビングは、なんだかいつも雑然と散らかっている気がする......。その違いは「光の当たり方」にあるのです。

蛍光灯のように全体を均一に明るくする光は、部屋の隅々まで目に入ってきてしまい、物が散乱した部分や、収納スペースのごちゃつきが目立ちやすくなります。特に白いLEDや蛍光灯の強い光は影ができにくく、すべてをフラットに照らしてしまうため、部屋が雑然とした印象になってしまいます。

一方で、温かみのある柔らかい光の白熱灯を使ったり、間接照明を部屋のアクセントに使ったりすると、光と影のバランスが生まれ、多少の物が乱雑に置いてあってもスッキリした印象に見えます。カフェやホテルのような空間は、照明をうまく使い、あえて影を作ることで目が行くポイントをコントロールし、居心地のよい雰囲気を演出しているのです。

片付けや収納を頑張っても、なぜか部屋がスッキリ見えない......。そんなときは、「どこを片付けるか」だけに注力するだけではなく、「どう光を当てるか」に目を向けてみるのも、一つの方法です。まずは取り入れやすい、寝室やリビングに小さな間接照明を置くことから始めてみてはいかがでしょうか。

片付けができ、部屋がスッキリしてくると、イライラすることも減り、精神面の安定や健康にもつながります。何より大切なのは、片付けに完璧を目指しすぎないこと。そして、一度に片付けるのではなく、少しずつ習慣化していくことです。楽しみながら、ぜひ片付けを続けてくださいね。

著者紹介

伊藤かすみ(いとう・かすみ)

オンライン片付け専門家

広島県福山市出身で、現在は東京と広島のデュアルライフを送る。住宅会社で20年間インテリアコーディネーターとして勤務した後、資格取得をきっかけに片付けの仕事をスタートする。セミナーやサポートの受講者数は延べ1千名。メールマガジンは2万4千人を超える読者がいる。片付け事業の売り上げは年商2億円。著書に『一生散らからない!飾るだけ片付け術 』(ぱる出版)、『自然と家族が整理しはじめる、魔法の片付けしつもん術』(ぱる出版)がある。

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