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生き方

僧侶がインドを旅して気づいた「定年後の孤独」に陥らない人の特徴

大愚元勝(住職・株式会社慈光マネジメント代表取締役)

2023年02月03日 公開 2024年12月16日 更新

僧侶がインドを旅して気づいた「定年後の孤独」に陥らない人の特徴

一般視聴者から寄せられる悩みに答えるYouTube動画『大愚和尚の一問一答』の登録者数が56万人を超えるなど、住職でありながらインフルエンサーでもある大愚元勝氏。仏教の考えをもとにした心の整え方と、ミドルが抱きがちな悩みへのアドバイスをいただいた。

※本稿は、『THE21』2023年3月号特集「心が強くなる!『メンタル』整理術」より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

心の疲れや乱れは習慣の積み重ね

心で起きていることは外から見えにくいため、身体の健康よりも軽んじてしまいがち。しかし、私たちの心で起きている悩みや苦しみなどは、実は身体で起きていることと同じです。

身体の病気は、ある日突然発症するものではありません。例えば、三大疾病と言われる、がん、心疾患、脳血管疾病は、まとめて「生活習慣病」と呼ばれています。これは、普段の運動、睡眠、食事などの習慣が積み重なった結果が、病気となって表れているからです。

心もまったく同じです。身体の病気が食事習慣などの蓄積であるように、普段からどんな刺激や情報を取り入れているのか、その習慣の積み重ねが心の病となって表れるのです。

そして、強い刺激を求めるのは身体も心も同じ。私も経験がありますが、脳が疲労していると、身体には良くないと思いつつ、こってりしたラーメンや甘いものを食べたくなりますよね。

食べ物の場合、満腹のときや仕事中には「食べない」という自制が効きますが、心が取り入れる情報や刺激は、食べ物以上に拒否できません。朝起きてネットニュースを見れば、戦争のことやコロナ禍での出来事など、自分の怒りや欲、好奇心をかき立てるものが溢れていて、つい見てしまいます。

あるいは、インスタグラムで誰かが高級レストランでの食事の写真を投稿しているのを見て、「わぁ、いいなぁ」と思いながら、嫉妬や妬みなど私たちの中の満たされなさが刺激されるわけです。こうした強い刺激に常に心が晒されて、興奮状態が続くと、知らないうちに心が疲れてしまうのです。

 

お坊さんが修行で山に籠るワケ

強い刺激から心を守るにはどうすればいいのでしょうか。それには、自分から物理的に距離を取るしかありません。テレビやSNSなどをあえて見ない時間を作ることです。

お坊さんがなぜ山の中で修行するのか考えてみてください。決して意志が強いからではありません。その逆で、意志が弱いからなのです。

意志が強ければ、渋谷のセンター街のような雑踏で修行をすることもできるはずですが、お坊さんとてそういう場所では自分の心がかき乱されるので、刺激を避けて山の中にこもるわけです。

私が住職を務める福厳寺の修行僧も、「スマートフォンを取り上げられて、自分が世間から取り残される恐怖を感じた」と口々に言います。

ところがその状況に慣れてくると、外からの膨大な情報、しかも自分の人生にあまり関係のない情報にいちいち反応させられていたことに気づくのです。

実際に修行僧たちは、ワールドカップでの日本の活躍も知りませんでした。ただ言えることは、それらの情報を知らなくても自分の人生には問題ない、ということです。

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著者紹介

大愚元勝(たいぐげんしょう)

僧侶

佛心宗大叢山福厳寺住職。僧侶・作家・事業家・セラピスト・空手家と4つの顔を持つ。YouTubeのお悩み相談チャンネル「大愚和尚の一問一答」は、登録者60万人を超える(2023年10月現在)。著書に『自分という壁』(アスコム)などがある。

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