THE21 7月号書評から
2011年06月24日 公開 2022年09月08日 更新
『心を整える。』
長谷部誠 著
幻冬舎/1,365円(税込)
「いい仕事」のスタートはメンタル面の調整から
ビジネスマンが「いい仕事」をするために必要なものは、ビジネススキルだけではなく、思いの強さや情熱、モチベーションの高さなど、さまざまある。そのなかでも「心」の問題は重要だ。心が弱いと「いい仕事」ができないと思う人も多いだろうが、一方で、無理をして心を病んでしまう人が多いのも現状だ。
サッカー日本代表チームでキャプテンを務めた長谷部誠選手はわずか27歳だが、①『心を整える。』に書かれた「心」の捉え方は、多くのビジネスマンにとって参考になるものだろう。彼は心を、強くするものではなく、調整する、調律するものだと捉える。つねに安定した心を備えることで、つねに一定以上のパフォーマンスを出せるというのだ。
心を整えるために、日々の生活のリズムを正しくする。それは、ときに禁欲的に思えるほどだ。たとえば、欧州でプレーしている元Jリーガーが集まって食事をしたとき、誰もアルコールを頼まなかった、というエピソードが紹介される。体力の回復を遅らせ、怪我の原因にもなるからだ。岡田武史監督は、選手に情が湧いてしまうからと、選手の冠婚葬祭には出席しないという。その他、長谷部選手自身や周囲の選手・監督のさまざまな習慣が紹介されている。
とはいえ、実際のところ、長谷部選手ほど自分を律せられる人は少ないに違いない。心が整わず、「仕事ができるようになりたい」と思っても、できるようになれない。それは、過去のイヤな経験から「怖れ」が生まれ、その「怖れ」から自分を過剰に守ろうとする意識が生む「性格」のせいだと、②『仕事が「ツライ」と思ったら読む本』は解説する。しかし、「性格」は変えられる、とも述べ、性格を変えるために「怖れ」を解消する方法を紹介する。
③『苦しまない練習』は、ブッダの弟子たちが編纂したブッダの言行録である原始仏典からの抜粋を超訳で紹介しながら、私たちの「苦」の原因は、私たちが頭のなかでつくっている妄想にあると説く。頭が「ラクなはず」と考えることが、心や身体にとっては「苦」になっているのだ。そして、苦しまないための考え方やレッスンを紹介する。
子供ばかりが登場する、スヌーピーが主人公の漫画『ピーナッツ』が、じつは人生への洞察に満ちた台詞の多い作品だということは、ご存じの方も多いかもしれない。とはいえ、肩肘張って読むようなものではなく、気軽に読んで楽しめる。④『気持ちが楽になるスヌーピー』は、さまざまある『ピーナッツ』選集の一つ。読めば心が軽くなるかもしれない。(S.K)
『仕事が「ツライ」と思ったら読む本』 |
『苦しまない練習』 |
『気持ちが楽になるスヌーピー』 |
THE21 最新号紹介
THE21 2011年7月号
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