手書きで心を伝えれば、相手の印象に残る!
2019年08月20日 公開 2023年09月05日 更新
一筆箋を添えたら、契約更新率が大幅UP
私が数年前から継続的に研修をさせていただいている、ある地方新聞社の販売店様の例をご紹介しましょう。
今、新聞業界は読者が減少して厳しく、契約更新時期に購読の継続をお願いする営業をしても、玄関のドアすら開けてもらえないことがあるそうです。
そこで、配達時に時折、手書きの一筆箋を添えるようアドバイスしました。読者というお客様と一筆箋で接点を持ち「忘れられない努力」を続けることで、少しずつ信頼関係を築いていくことが可能だからです。
その結果、契約更新の営業トークを聞いてくれるお客様が増えて、定期購読をやめる人が半分にまで減った店舗もあるそうです。
他業種での研修でも一番よくお聞きするのが、「いなくなるお客様を減らしたい」という声。現代は選択肢が幅広く、ユーザーは「浮気」しやすい状況だといえます。そこで効果を発揮するのが、手書きのハガキ。お客様が忘れずに思い出してくれて、つなぎとめておくことができる、最適のツールなのです。
手書きのハガキは、あらゆる業種で活用できます。たとえば自動車販売メーカー。一度購入すれば再購入は数年先になりますが、別店舗でもできる車検や修理時は、自社に戻ってきてほしいはずです。
この場合、書くべきなのは「ご機嫌うかがい」です。「もうすぐ夏休みですね。ご家族でマイカー旅行を楽しめますように」などというひと言を添えれば、「あのお店は感じがいいな」という印象につながります。
繰り返しますが、売り込み(セールス)の言葉は不要です。コツコツと手書きのハガキを送り続けることで、相手が自分を思い出すきっかけとなると同時に、良い印象を残すことができるのです。
ビジネスハガキは見た目が9割
このように売上げにつながる手書きですが、先述したように苦手意識を持つ人が多いことも現実です。そこで私は、ハードルを下げるために、研修では以下の4点をお伝えしています。
1 ビジネスハガキは書く内容ではなく「ビジュアル重視」で
「人は見た目が9割」という言葉は、ビジネスハガキにも当てはまります。第一印象を左右するのは、紙と切手のデザイン、手書き文字によるところが大きいのです。
人間の脳は文字よりも、ビジュアルが強く残る傾向にあります。新聞であれば見出しや写真に目が止まり、その後に記事を読むことでも明らかです。ビジュアルで目を引きつけることができて初めて、文章を読んでもらえるのです。
私の感覚では、ビジュアルを決めるのは紙が7割で文字が2割、残りの1割が切手です。文字はたった2割ですから、書くのが苦手だからと手書きから遠ざかるのはもったいないことだと思います。
2 レイアウトを工夫する
ビジュアルを際立たせ、レイアウト上手に見せるコツは五つあります。
・大きく元気よく書く
・こまめに改行して余白をたっぷりととる
・漢字3割、ひらがな7割
・強調したい文字を大きく書く
・絵柄の上に文字がかからないよう注意する
びっしりと文字で埋め尽くされたハガキは、受け取り手が圧力を感じてしまいます。相手に喜んでもらうことが目的だからこそ、意識してみてください。
「大きく」「太字」「青いペン」で書くと、より読みやすい文字になります。字に自信のない人は試してみてください。
3 書き間違えたら、シールを貼ってもOK!
受け取り手の立場になって想像するとわかりますが、多少の書き間違いは愛嬌のうちです。
相手の名前や会社名を書き間違えるのは絶対NGですが、本文中のちょっとした書き間違いくらいなら、手書きならではの「味わい」です。書き間違えた箇所にシールを貼ったり、消して書き直したりしてもいいと思います。横に吹き出しをつけて「すみません」などと書けば、かえって親しみにつながることもあります。
4 文章のテンプレートを作ってファイリングしておく
「何を書いたらいいかわからない」という悩みもよく聞きますが、気持ちを伝える数行でいいのです。シチュエーションに合わせてテンプレートを作っておけば、迷うことなく書き出すことができます。「3分で1枚完成」を目指してみましょう。
女性は比較的、筆まめな方がいらっしゃるように思いますが、男性は逆に苦手意識を持っている人が多いように思います。普段、手書きをしそうにない男性が手書きのハガキを送ると、その意外性を武器にもできます。ぜひ、挑戦してみてはいかがでしょうか。