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思い切って 世界一周旅行に行きませんか

吉田友和,松岡絵里

2014年06月22日 公開 2022年08月17日 更新

《 『はじめての世界一周』より 》
(☆2011年1月掲載記事の再録です)

 私たちが世界一周旅行に行ったのは、友和25歳、絵里26歳のときのこと。それまで勤めていた会社を2人揃って寿退社し、「新婚旅行は世界一周!」と日本を後にしたのです。

 それは、ただひたすら世界中で遊び続けた607日間でした。その地の人々と出会い、さまざまな風景を見て、街を歩いて、「へー、世界ってこうなっているのね」を知る毎日。そうして世界がちょっとずつ自分の前に開かれていくにつれ、「ああ私たちってば地球に生きているんだよね」を実感する毎日でした。

 その旅で、ちょっと大げさかもしれないけど、人生が変わりました。こうして本を作っていることもそう。帰国後の仕事は、かなり旅に近いことばかりしています。いまでも顔を合わせる旅友だちの存在も、人生の最高のスパイス。そして最近もやっぱり休みのたびに旅しているので、日々の食卓も旅の話がてんこもりです。

 何より、「世界にはいろんな国があって、いろんな人がいる」ことを肌身で感じ、世界がぐっと身近になった。これが私たちにとっての最大の収穫です。ああ地球って、おもしろい!と日々ワクワクして生きていける。落ち込んだときは落ち込んだときで、世界各地に逃げ場があるのを知っているから、「ホントにダメになったら、南の島でも行こうか」なんて、半分真剣に妄想できる。

 最近「世界一周航空券」など、「世界一周」という言葉が、とっても身近になっています。実際、私たちのほかに、周囲には世界一旅行経験者が意外なほどたくさんいます。そして彼らの口から一度たりとも「世界一周なんかしなきゃよかった」なんて言葉は聞きません」

 学校、仕事、家庭......期間にもよりますが、世界一周ともなれば、旅立つためにそれなりに準備も覚悟も必要です。だけど、目の前には未知の世界が広がっている。そしてせっかく奇跡的な確率のもと、運良くこの地球に生まれたのだから、それを見ないままに人生が終わってしまうのは、ちょっともったいないと思いませんか?

 世界の大きさを知ってみたい。いろんな国を覗いてみたい。そう思ったときが、行動しどきだと思います。そうして行動する方のために、本書が少しでも役立てば......と思っています。

 さあ、世界一周旅行に行ってみませんか?

 

<世界一周の素朴な疑問>

Q.1  そもそも世界一周って何?
 A.  太平洋と大西洋を一度ずつ横断すること

 実のところ、「世界一周」の明確な定義はありません。地球一周は約4万キロ。日本から出発して4万キロをぐるりと一周すれば、それは「世界一周」と言っていいでしょう。

 ただし、たとえば世界一周航空券では、「太平洋と大西洋を一度ずつ横断すること」が世界一周の定義とされています。ですから、これを世界一周の定義とするのが一般的かもしれません。

 実際に世界一周の計画を立てようとすると、そして旅に出てみると、「ここのエリアはこの時期に行きたい」など、何かと事情も出てくるもの。途中でワールドカップを見たくなって開催国に飛ぶ、なんていうこともあるかもしれません。  そんなことを考えてみると、「何が世界一周か」に固執して美しいルートにこだわるのは少しもったいない気がします。多少ガタガタなルートでも、自分が「これは世界一周だ」と思えば、それを「世界一周」と言ってしまっていいのでは?と私たちは思います。

Q. 2 どうやって世界一周するの?
 A.  飛行機、列車、バイク、自転車、徒歩......もちろん船もありです。

 世界一周の仕方は実にさまざまです。私たちが初めて世界一周したときは、予算の都合もあり、できるだけバスや列車など陸路移動をしつつ、時間がかかる場所に関しては飛行機を使っていました。2010年、日本で社会人として働いているというのもあり、飛行機を多用した「超短期世界一周」にチャレンジしました(詳細はP14へ)。

 世界には実にさまざまな旅人がいて、さまざまなスタイルで旅をしています。これまで私たちが出会った、もしくはうわさに聞いた人には、バイクもいれば自転車もいる。変わりどころだと二人乗りの自転車やリヤカー、そして馬を旅の手段として使っている人もいました(ただし馬は動物検疫の関係上、世界一周するのはなかなか難しそうですが)。年配の方々には「世界一周クルーズ」も根強い人気があります(そして私たちもいつか乗ってやろうとたくらんでいます)。  方法は人それぞれ。まずは自分に合った方法の吟味を!

Q. 3 お金はどのぐらい必要?
 A.  バックパッカースタイルで1年=150万円が目安。

 これは「どんな旅をするか」「どのエリアに行くか」によって大きく変わってくると思います。

 いわゆるバックパッカースタイルであれば 1年=150万円が目安と言われています。ただし物価の安いアジアを中心に旅をすればもっと抑えられるかもしれないし、ヨーロッパだとカツカツの旅になる可能性が高いです。もちろん豪華な旅をしようと思えば、上限はありません。

 ちなみに私たちの場合、607日間(約1年8ヶ月)の旅で、使った金額は1人約230万円。これに飛行機代なども含まれています。1ヶ月当たり、10万円ちょっと。......この金額を聞くとたいていの人が「え、ホントに?」と目を丸くします。東京で1ヶ月一人暮らしをするとしたら、なかなか10万ちょっとではきかないでしょう。

 そう、世界一周は旅の仕方によっては、日本で日常生活を送るよりもずっと安上がりだったりするのです。なにも「宝くじに当たったら世界一周!」なんて言わなくても、夢は実現できるのです。

Q. 4 期間はどれぐらいかかる?
 A.  世界一周航空券の有効期限=1年を目安に。

 私たちの1回目の世界一周旅行は607日間で、2回日は12日間でした。そこからもわかるように、期間は人それぞれです。

 仕事を辞めたり、学校を休学していく人は、1年をひとつの目安にするといいでしょう。これは世界一周航空券の有効期限や、学校の休学期限の多くが1年であることを考えて、プランを立てやすいからです。

 ただし、当初私たちは1年の予定で世界一周旅行に出て、結果的に1年8ヶ月かかりました。これでもいわゆる"沈没"と呼ばれる1ヶ所での長期滞在は極力避け、計45ヶ所をテンポよく旅をしていったつもりですが、やはり世界は広い。「心ゆくまで旅をした」という心境にはいたらず、いまも旅を続けています。

 といっても長期旅行も1年を過ぎるとダレてくる部分があるのも確か。転職の合間に半年、3ヶ月という選択肢だってあるでしょう。極端なことを言うと現役の会社員でも、10日間あれば短期世界一周旅行ができます。あわただしい旅にはなりますが、毎年世界一周旅行も夢ではありません。

Q.5  仕事は辞める?家はどうする?
 A. とことん行くなら、仕事を辞めて家を引き払って。最短なら10日間でも実現可能!

 私たちの1回目の世界一周旅行は607日間で、2回日は12日間でした。そこからもわかるように、期間は人それぞれです。

 一生に一度の大冒険!――そんな意気込みで3ヶ月以上の長期で行くのであれば、やはり会社を辞めたり学校を休学したりという思い切った選択が必要になるでしょう。長い人生、1年かそこら世界一周旅行に費やしても、決して損はないですし、その後地獄の人生が待っているというわけでもありません。むしろその経験がその後の人生に活きてくる、そんなパターンも私たちの周りには実際多いです。

 仕事を辞めるなら、家賃を無駄に払う必要はありません。家は解約したほうがベター。荷物は実家に送ったり、レンタル倉庫を利用するなどして。住民票を抜いていけば、その間の税金は免除されます。

 とはいえ、なかなか仕事を辞めにくいという人も少なくないでしょう。その場合、短期世界一周旅行という選択肢もありだと思います。10日間、1ヶ月程度であっても世界一周旅行は不可能ではないですし、またそれも航空網が発達した現代だからこその新しいスタイルだと思います。

Q.6 英語ができなくても大丈夫?
A. 度胸と気持ちとジェスチャーでOK!
 

 英語だって中国語だってスペイン語だって、できるにこしたことはありません。けれどできなくても旅するぶんには問題ありません。事実、私たちが過ごした607日間の世界一周のうち、英語圏は半分以下。そもそも旅行=英語という図式だって、先入観にすぎません。世界には英語をまったく話せない人のほうがはるかに多いわけですから。

 昨今は便利なツールも多く、たとえばiPhoneのアプリで「旅の指さし会話帳」や電子辞書などを使う手もあります。付け焼き刃でも現地で意思疎通の必要があるときにこれらは便利です。そうしたツールを使いながら少しずつ現地の言葉ができるようになると、旅の楽しみは増します。

 大切なのは、「あきらめないこと」な気がします。「きっと伝わるはず」という思いでコミュニケーションをとっていると、不思議と通じるものです。度胸と"伝えたい"という気持ち、そして知恵と体を駆使したジェスチャー。これさえあれば、言葉がわからなくてもある程度の意思疎通は可能です。

 

吉田友和(よしだ・ともかず)

旅行作家・編集者

1976年、千葉県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。世界一周新婚旅行をまとめた『世界一周デート トモ&エリの607日間ハネムーン』(TOKIMEKlパブリッシング)が話題に。その後、『してみたい!世界一周』(情報センター出版局)がベストセラーとなる。以降も会社員をしながら世界各地を旅して周り、『週末海外!』『週末アジア!』『一人で海外!』(以上、情報センター出版局)『週末バンコク!』(平凡社)など著書多数。近著に『サンデートラベラー!』(角川文庫)がある。妻の松岡絵里の著作でも写真を担当することが多い。

松岡絵里(まつおか・えり)

ライター・編集者

1976年、京都府生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。出版社で音楽雑誌の編集を担当後、夫・吉田友和と2人揃って607日に及ぶ世界一周新婚旅行へ(ちなみに夫はそのときが初の海外旅行)。
帰国後に夫との共著『してみたい!世界一周]』(情報センター出版局)を出版したあとは、日本の旅にハマり、『ニッポン聖地案内』(情報センター出版局)を刊行。近著は世界約100の市場をビジュアルとともに紹介する『世界の市場』(国書刊行会)。


<書籍紹介>

はじめての世界一周

はじめての世界一周

吉田友和・松岡絵里 著
本体価格 1,300円

今や世界一周は夢ではありません。行ってみたいな...、そう思ったときが行動しどきです。
本書は、「どうやって行くの?」「お金はどのくらいかかるの?」など、誰もが抱く素朴な疑問の解決から、ルートの立て方のコツ、世界一周に出発するまでに準備すること、世界一周航空券の最新情報まで完全網羅。また、実際にどこの国へ行って何をするか。オススメの主要51ヶ国を美しい写真とともにたっぷり紹介。旅の計画のヒントになること間違いなしです。
憧れの「世界一周」旅行の実現法をオールカラーで徹底ガイド!

 

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