2025年のビジネス書は何が読まれた? ベスト10から見えた“言語化ブーム”
2025年12月10日 公開
累計会員数128万人を突破した本の要約サービス「flier(フライヤー)」が、2025年における「ビジネス書の人気ランキング」を発表しました。「時間術」「習慣」「働き方やコミュニケーションのコツ」といった、タイパ時代に、どう行動するのかを考える読者のニーズが反映されたランキングをご紹介します。
今回のランキングで第1位となったのは、安達裕哉さんによる『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)。コミュニケーションという幅広い仕事に効くテーマを扱いながら、「誰でも頭のいい人になれる」というキャッチーな切り口が支持を集め、2023年春の刊行以来ロングセラーとなっている1冊です。
ランキング全体をみると、昨年「今年の新語2024」大賞に選ばれた「言語化」への関心が引き続き高いことがうかがえます。『人は話し方が9割』『上手に「説明できる人」と「できない人」の習慣』『こうやって頭のなかを言語化する。』といった関連書籍が上位に並んでいます。
一方、TOP10には「時間」の価値を見つめ直すテーマの書籍も多く入りました。『世界の一流は「休日」に何をしているのか』や『DIE WITH ZERO』など、真に豊かな時間の使い方や「人生の投資」に意識を向ける読者が増えていることが伺えます。
さらに、「読者が選ぶビジネス書グランプリ2025」で総合グランプリを獲得した『部下をもったらいちばん最初に読む本』も注目タイトルとしてランクイン。人間の基本的欲求に立ち返りつつ、メンバーが主体的に動く組織づくりのヒントを提示してくれる書籍として支持されています。
加えて、フライヤーが同時に発表した「2025年 最も読まれた著者ランキング」では、心理学者の内藤誼人さんが1位を獲得しました。『「なまけもの」のやる気スイッチ』『ライフハック100』(総合法令出版)など、科学的知見に基づく習慣術やライフハックを分かりやすく解説する著作が多く、flierのユーザーから高く評価されたことが受賞につながったとみられます。
2025年 最も読まれたビジネス書ランキング
本ランキングは、flierの有料会員を対象に、スマホアプリおよびウェブのアクセス数(紹介書籍の要約閲覧数)を合算し順位付け。集計期間は、2024年12月1日~2025年11月15日です。
【順位:『書籍名』(著者名/出版社名)】
1位:『頭のいい人が話す前に考えていること』(安達裕哉/ダイヤモンド社)
2位:『世界の一流は「休日」に何をしているのか』(越川慎司/クロスメディア・パブリッシング)
3位:『DIE WITH ZERO』(ビル・パーキンス,児島修(訳)/ダイヤモンド社)
4位:『部下をもったらいちばん最初に読む本』(橋本拓也/アチーブメント出版)
5位:『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎/岩波書店)
6位:『人は話し方が9割』(永松茂久/すばる舎)
7位:『朝1分、人生を変える小さな習慣』(リュ・ハンビン,小笠原藤子(訳)/文響社)
8位:『イシューからはじめよ[改訂版]』(安宅和人/英治出版)
9位:『上手に「説明できる人」と「できない人」の習慣』(鶴野充茂/明日香出版社)
10位:『こうやって頭のなかを言語化する。』(荒木俊哉/PHP研究所)
1位『頭のいい人が話す前に考えていること』の著者・安達裕哉さんのコメント

『頭のいい人が話す前に考えていること』を、この一年で最も読まれた一冊として選んでいただき、心より感謝申し上げます。
2025年は、生成AIの普及によって、さらに働き方が大きく変化しましたが、その中でむしろ価値が増したのは文書作成よりも「対人能力」だったのではないかと思います。
本書で伝えたかったのは、派手なスキルではなく、普遍的で再現性のある振る舞い方です。どれだけ環境が変わっても、基本に忠実な振る舞いをすることで状況は改善します。本書が今年も多くのビジネスパーソンの方々の役に立てたのだとすれば、著者としてこれ以上の喜びはありません。
2025年 最も読まれた著者ランキング
本ランキングは「flier」の有料会員を対象に、スマホアプリおよびウェブのアクセス数(要約閲覧数)を、著者別で集計し、順位付けをしています。集計期間は2024年12月1日~2025年11月15日です。
【順位:著者名:代表作(2024年flierで最も読まれた書籍)/出版社】
1位:内藤誼人:『「なまけもの」のやる気スイッチ』/総合法令出版
2位:安達裕哉:『頭のいい人が話す前に考えていること』/ダイヤモンド社
3位:越川慎司:『世界の一流は「休日」に何をしているのか』/クロスメディア・パブリッシング
4位:枡野俊明:『朝の自分時間で人生はうまくいく』/主婦と生活社
5位:樺沢紫苑:『読書脳』/サンマーク出版
6位:有川真由美:『なぜか好かれる人の小さな習慣』/毎日新聞出版
7位:伊庭正康:『プレイングマネジャーの基本』/かんき出版
8位:永松茂久:『人は話し方が9割 2』/すばる舎
9位:鶴野充茂:『頭のいい説明「すぐできる」コツ』/三笠書房
10位:堀田秀吾:『ハーバード、スタンフォード、オックスフォード... 科学的に証明された すごい習慣大百科』/SBクリエイティブ
著者ランキング1位 内藤誼人さんのコメント

年間を通しての「著者別ランキング1位」に選ばれたことには感謝の言葉しかありません。本当に嬉しいです。ありがとうございました。
flierさんのなかで私の著書として2025年に一番読まれた『「なまけもの」のやる気スイッチ』はタイトルにもありますように、『なまけもの』の読者を想定して執筆いたしました。
たいていの動物は『なまけもの』です。狩りをしたり、エサを探したりする以外の時間は、たいていゴロゴロ、ダラダラしているものです。人間もやはり動物ですので、基本的にはダラダラする生来的な性質を持っています。とはいえ、人間の場合にはやる気を出さなければならないことも多く、そんなときに役に立つヒントを集めたのが本書です。
「どうにもやる気が出なくて困る」ということで悩んでいる人に、ぜひ本書を読んでいただきたいと思います。
フライヤー編集部による「ビジネス書」「著者」ランキング総評
2025年の1位はなんと、2023年春に刊行されたベストセラー、『頭のいい人が話す前に考えていること』。「話し方」ではなく「話す前」に注目し、どのように思考を整理して言語化していけばよいのかから考える本書は、小手先だけではない、地に足のついたアドバイスが得られると好評です。
今年度も注目度の高い「言語化」というテーマ。ロングセラーの『人は話し方が9割』(6位)はその代表選手ですが、『上手に「説明できる人」と「できない人」の習慣』(9位)、『こうやって頭のなかを言語化する。』(10位)といった本がベスト10入りした背景には、『頭のいい人が話す前に考えていること』と同様の関心があるように思います。できることなら「クレバーに話したい」ですよね。
また、2位から先の今回のランキングを眺めると、1つの傾向が見えてきます。「1日1日をより充実させたい」という思いです。アフターコロナで外出需要・成長意欲はさらなる高まりを見せていますが、そのなかで、なるべく不安は少なく、豊かな人生を歩んでいきたいと考えるのは自然な流れです。『世界の一流は「休日」に何をしているのか』(2位)は、多忙を極めるビジネスエリートたちの休み方に着目した本。「せっかくの休みを無駄にしたくない」という気持ちに応えています。
そして、2025年の1年間でフライヤーの要約が最も読まれた著者は、心理学者の内藤誼人さんです!
情報の奔流のなかにあり、さまざまな要因でくたびれがちな現代人にとって、どうやる気を出して、少しでも前向きになるかは、人生で追いつづけなければならない課題ともいえそうです。内藤さんは、日々、山のように発表される心理学系の研究論文を厳選し、科学に裏づけられた習慣術、ライフハックを紹介しつづけています。
たしかな知見、情報にもとづいて、自分を少しでもホッとさせたい......。内藤誼人さんの本は、どれを読んでもその願いに応えてくれる。そのような読者の声が聞こえてきそうな、納得の1位です。
ビジネス書ランキング1位の安達裕哉さんは、僅差でこちらも2位にランクイン! 良作を次から次へと発表している3位の越川慎司さんも、次回作が気になる著者のひとりです。「AI分析でわかったトップ5%」シリーズは、ただの印象論では終わらない確かな情報として、ファクトを重視するビジネスパーソンたちに、大きな納得感を与えてくれるのかもしれません。
近年の傾向を見ていると、「信頼の置ける情報、背景」をもつ著者や、コミュニケーション分野を土俵とする著者が読まれているように思います。フライヤーでは、人生に力強く伴走してくれる本を書かれている著者のみなさんの作品を、これからもたくさん取り上げてまいります。







