おもしろおかしく生きろ!イヤならやめろ!
2012年06月22日 公開 2023年01月05日 更新
堀場製作所・創業者の堀場雅夫氏は、ベンチャービジネスのモデルをつくり出したともいわれる人物である。
堀場氏は、著書のなかで「わずか数十年の人生をムダにしてはならない」と説く。能力以上の仕事に挑戦し、会社が嫌になったら辞めるべきだと述べる彼の考えを抜粋してお届けする。
※本稿は、堀場雅夫 著『おもしろおかしく生きろ!』(PHP研究所)より内容を一部抜粋・編集したものです。
「おもしろおかしく」生きろ
人間一人の命の重みは、何ものにも代えがたい。
例えば特定の精子と卵子が出会う確率は、約50兆分の1といわれている。50億の人間が毎年1枚宝くじを買って、1万年目にやっと一人だけ当たるようなものだ。つまりあなたという人間がそこに存在しているだけで、すでに奇蹟なのだ。
その人間には、どんな高性能カメラよりもピントや露出をうまく調整できる眼球が備わっている。騒音のなかでも話している相手の声だけを聞き分けられる耳がある。
同時通訳をマスターした人などは、微妙なニュアンスや感情まで判断しながら、適切な訳語を瞬時に選ぶコンピュータ以上の能力を備えているのだ。
この素晴らしい人間の、わずか数十年の命をムダに過ごしてはならない。できるだけ「おもしろおかしく」生きて、荼毘(だび)に付される前に「いい人生だった」と思えるようにしたい。
そのためには、20歳前後から60歳前後という人生のいちばん充実した期間に、最も長い時間を費やす「仕事」を楽しむことが肝心だ。仕事が楽しくなければ、人生の大半が詰まらなかったことになる。
ただし、仕事のほうからあなたを楽しませてくれることは少ないだろう。あなた自身が仕事を「おもしろがる」よう努力することで、おもしろおかしい人生を築くのだ。
能力以上の仕事を引き受けろ
決められた時間内に処理できる仕事量を見極め、いつもきっちりと仕事をやり終える人がいる。一方で、一人ではできそうもないほど大量の仕事を抱え、時には残業をしながら、どうにかこなしている人がいる。
どちらのタイプが「仕事ができる人」なのだろうか?
答えは後者だ。なぜなら人間は、かなり頑張っているつもりでも、能力の60パーセントくらいしか発揮できていないからだ。「8時間でできる仕事の量はこれで目一杯だ」と本人は思っていても、実際には6割くらいしか実力が出ていないのである。
もちろん手を抜いているわけではないが、全力を出してもいない。全力が出ていないから、仕事の質もさほど高くはない。
おおよその目安だが、自分の能力の150パーセントくらいの仕事量を抱えることで、初めて100パーセントの力が出てくるのではないか。手を抜くどころか、常に全力を出さなければならない状況である。全力を出しているから、結果的に質の高い仕事ができるというわけだ。
地引網を横に広く張ったら、浜に引き上げるのにたいへんな力が必要となるが、その分、たくさんの魚が獲れる。網を狭く張ったら、引き上げるのは楽だが、魚は少ししか獲れないものだ。