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情報を頭に「なじませる」ことで必要なものが見えてくる



2016年09月02日 公開

生方正也(HRデザインスタジオ代表)

情報は、「すぐに」「そのまま」使うべからず

物事を考えるためにはまず、情報をよく見て精査し、不足するものを新たに調べたりする必要がある。ネット検索でなんでも調べられる一方で、大量の情報の中から必要なものを選び整理するには技術が必要だ。情報の洪水におぼれないための情報整理術について詳しくうかがった。《取材・構成=林加愛》

 

「コンビニ情報収集」の罠に陥っていないか?

アイデアを出したり、アウトプットに向けて考えを深めたりするためには、関連する情報をよく理解し、整理し、有効活用する必要があります。ネット社会においては、情報不足よりも情報過多になりがち。膨大かつ玉石混淆の情報群から有益なものを選び、整理するのは大変だと感じる人も多いでしょう。

情報整理が苦手な人のパターンは、二つあります。
一つは、「コンビニ情報収集」。コンビニのお弁当のような感覚で、情報を「すぐに」「そのまま」使おうとしてしまうことです。
実際のところ、そのまま使える情報などというものはまずありません。拾い上げた情報群をすり合わせ、目的に応じた加工をするプロセスが不可欠なのです。そこを経ないと、すぐに使えそうという理由で偏った情報だけを出してしまったり、性急に捨ててしまったり、という失敗につながります。

もう一つは「もったいない症候群」。見つけた情報を大事にし過ぎて捨てられない状態です。結果、膨大な情報量は集まるものの焦点が定まらず、混乱してしまうのです。
では、有意義な思考のための情報整理には、何が必要なのでしょうか。少し感覚的なアプローチになりますが、私は、情報に「なじむ」というプロセスを持つことが有効と考えています。

現代の情報収集はたいてい、ネット検索から始まります。そのとき、最初の検索結果画面に出てきたページには全て目を通してみること。そうして頭を慣らしていくと、「頻出するキーワード」や、「世間での関心の持たれ方」、「よく引用されている出所」などがつかめてきます。
目にした情報を「書く」のも良い方法です。目で追うだけでなく手を動かすことで、頭に入りやすくなるからです。

統計などの数字データなら、エクセルの表入力を行なうのも効果あり。最初は数字の羅列にしか見えなかったものでも、自ら入力することで推移や変化の意味が見えてきます。
つまり「なじむ」こととは、「自分の頭で考える体勢づくり」なのです。どう加工しようか、どれを捨てようか、といった判断も、この段階を経てこそ、できるようになるのです。無駄なようにも見えますが、こうした過程を経ずに情報を活用するのはかなり難しいものです。

 

「これは何についての話?」が取捨選択のポイント

情報がなじんできたところで、次は取捨選択です。あらためて収集の「目的」を明確にし、そこに合致しない情報は除外しましょう。
それには、一つひとつの情報を見て「これは何についての話?」と考えるのが近道です。たとえば、ある業界の最新技術に関する情報を集めている場合、各社の「新商品についての話」はある程度有用でしょう。しかし、各社の「新卒採用についての話」は明らかに無関係です。このように各々の情報が、調べたいテーマとどれくらい近いか遠いか、距離感を意識することが大切です。

次に確認するのは、各情報の信憑性です。ただし、信じ込んだり疑いすぎるのは禁物。「絶対に信用できる情報」など、厳密な意味ではありえませんから、あまり信憑性に神経質になってもキリがありません。ほどほどの距離感を持って情報に当たりましょう。

そのときの鍵の一つは、「その情報の出所」です。公的機関など信頼の置けそうな出所ならばある程度信頼する、聞いたことのない機関の場合はその機関自体が信頼に足るものかを確認してみる……などの方法があります。

 

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著者紹介

生方正也(うぶかた・まさや)

HRデザインスタジオ代表

1968年、埼玉県生まれ。東京大学文学部卒業。日産自動車〔株〕にて、取引先部品メーカーの経営分析・指導を担当。〔株〕ウィリアム・エム・マーサー(現・マーサージャパン〔株〕)にて、人事制度改革、組織変革などのコンサルティングに従事したのち、グロービスを経て独立。現在は、人材開発、組織変革に関するコンサルティングに携わると同時に、ロジカルシンキング、情報活用術、仮説思考などの分野の指導、著作活動を行なっている。著書に『アウトプットの精度を爆発的に高める「思考の整理」全技術』(かんき出版)、『アウトプットの質を高める 仮説検証力』(すばる舎)、『ビジネススクールで身につける仮説思考と分析力』(日本経済新聞出版社)、『シナリオ構想力 実践講座』(ファーストプレス)、『結果を出す人がやっている「思考整理」の習慣』(日本実業出版社)など多数。

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