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棚橋弘至の「全力」お悩み道場6~諦めた夢も、無駄じゃない

2016年11月08日 公開

棚橋弘至(プロレスラー)

夢がなくても、無理に探す必要はない

新日本プロレスをV字回復させた「100年に一人の逸材」・棚橋弘至。何事にも全力で組織をも変えた、その生き様は従来のプロレスファンのみならず、さまざまな人から支持されている。この企画では読者の皆さんからお寄せいただいたお悩みに、棚橋選手がお答えする。《取材・構成=村上敬、写真撮影=永井浩》

 

やりたいことが見つからないとき、どうしたらいいか?

Q1 就職活動中の大学生なのですが、やりたいことがわからずに焦るばかりです。新卒でどこかの企業に入らないと、その先の挽回が難しい中で、私のようにやりたいことが見つからない人は、どうすればいいと思いますか。

 

小学生向けの講演で、僕はいつもこう話しています。
「夢を持っている子は、それに向かって頑張れ。夢が見つかっていない子は、無理して夢を持たなくていい。そのうち見つかるから、いろんなことにチャレンジしてみよう」

とくに強調したいのは、後半の部分です。いまの日本は子供に「夢を持て」と言いすぎで、それが子供たちにとって強いプレッシャーになっています。僕が「昔は野球選手になりたくて、途中から新聞記者、大学教授に変わった。プロレスラーになりたいと思ったのはずっと後」と自分の体験を話すと、みんな「一つの夢にこだわらなくていいんだ」「今決めなくていいんだ」といってホッとした表情をする。それくらい、子供たちは追い込まれているんです。

だから、「無理に夢を持つ必要はないよ」と言ってあげるのですが、相談者のように大学生で就職活動中の方には、同じ回答はふさわしくないですね。

もし僕が同じ立場になったら、どうするか。想像ですが、多分「何をやりたいか」ではなく、「どういう生活をしたいか」で考えるんじゃないかな。

自分がやりたいことというのは、まさしく夢に関わってくる部分です。たとえば「弁護士になって困っている人を助けたい」というのは夢であり、本当はそれに従って仕事を選ぶのが理想です。

ただ、そうした夢がないのなら、他の基準で選ぶしかありません。具体的には、「少しでも給料が高いところがいい」「好きなときに休める会社がいい」というように、自分が望む生活を基準に会社を選ぶのです。
感覚としてはアルバイトに近い。バイト先を選ぶとき、多くの人は条件をまず気にしますよね。それと同じ感覚で就職先を決めてもいいと思います。

ここで重要なのは、就職先を一度決めたからといって、一生が決まるわけではないということです。ひと昔前ならともかく、今では終身雇用は崩れつつあり、転職もしやすくなっています。僕の知人でも、資格を取って独立したり、別の業界に転職したりして、成功した人が何人かいます。就職は最初の入口に過ぎないので、そこに縛られ過ぎてはダメでしょう。後でやりたいことが出てきたらパッと乗り換えるくらいのフットワークの軽さを持つべきです。

ん? 夢を語らないで、就職面接を突破できるのかって?

その疑問はもっともですね。たしかに、「給料が高いから」という志望動機を正直に話すのは、印象が良くないかも。だからそこは適当に流しておいて、別のところでアピールしたほうがいいんじゃないですか。

僕なら、きっとこう言います。
「僕は疲れたことがない男です!」

本当に疲れたことがないのかどうかは、この際どうでもいいんです。これは「これからも疲れるつもりはない」「常に前を向いて進むんだ」という生き方の決意表明です。取ってつけた夢をもっともらしい顔で語るより、自分の生き方をアピールしたほうが、きっと面接官の心に響き、その思いを買ってくれるのではないかと思います。

 

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著者紹介

棚橋弘至(たなはし・ひろし)

プロレスラー/新日本プロレス所属

1976年、岐阜県生まれ。98年、入門テストに合格。99年、立命館大学法学部を卒業後、新日本プロレスに入門。同年デビュー。2003年、初代U-30王者。06年、IWGPヘビー級王座を初戴冠。09年、11年プロレス大賞MVP。14年、第7代IWGPインターコンチネンタル王者に。第45代、47代、50代、52代、56代、58代、61代IWGPヘビー級王者。著書に、『全力で生きる技術』(飛鳥新社)など。

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