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40代からでも「記憶力」は伸ばせる!

2017年07月13日 公開
2023年04月06日 更新

池田義博(記憶力のグランドマスター)

1,000桁以上の数字も覚えられる「記憶の極意」とは?

脳

脳をフル活動させれば何歳からでも記憶力を高められるという。とはいえ日々衰えを感じるのも事実。本当に記憶力を伸ばすことができるのだろうか。そこで、40歳を過ぎてから記憶術のトレーニングを始め、45歳で日本一となった池田義博氏に、記憶力を高めるしくみと、トレーニング方法をうかがった。

 

記憶を定着させる3原則とは?

 私は40代で記憶術に目覚め、トレーニングを開始しました。そして、45歳のときに記憶力日本選手権大会で優勝し、さらには世界記憶力選手権では、日本人初の「記憶力のグランドマスター」の称号を獲得しました。

 とはいえ、もともと暗記が得意だったわけではありません。以前は通信機器メーカーのエンジニアで、現在は家業を継ぎ、塾経営をしています。そして、生徒たちのために記憶力を高めるカリキュラムを作ろうと独学で学ぶうちに、記憶力を鍛える楽しさに目覚めてしまったのです。世界記憶力選手権に挑戦した頃には、1,000桁以上の数字を覚えられるようになっていました。

 私は記憶力というのは持って生まれた才能や年齢にはあまり関係がないと考えています。脳には「記憶のしくみ」があり、それを上手に利用すれば、ラクに物事を覚えることができます。人により記憶力に違いがあるとしたら、その方法を知っているか、知っていないかの差だけです。記憶力とは“技術”なのです。

 その技術の基本となるのは「感情・回数・意志」の3原則。

 まず、記憶に大きく影響するのが「感情」です。思い出が何年経っても忘れられないのは、その出来事に“感情”が動かされたことで、脳に深く刻まれたためです。ですから、覚えたい対象にストーリーや特徴を与えて感情を動かせば、あとは脳が勝手に覚えてくれるのです。

 次に「回数」です。人間の脳は記憶したことのおよそ7割を翌日には忘れていると言われます。その理由は、脳には「覚える必要なし」と判断した情報を削除する機能があるため。ですから、覚えたいことは“繰り返す”ことが基本です。それによって、脳は「覚えておいたほうがいいらしい」と判断し、長く記憶に残そうとするのです。

 そして、最も大切なのが「意志」。1週間前の夕食は何だったか、覚えている人はほとんどいないと思います。目の前の事象を「覚えよう」と思わないかぎり、なかなか記憶には残りません。「覚えよう」という明確な意志を持つことで、脳の記憶スイッチが入るのです。

 このように「感情・回数・意志」の3原則を押さえれば記憶力は飛躍的に伸びます。では、この3原則を生かした記憶法を具体的に説明していきましょう。

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著者紹介

池田義博(いけだ・よしひろ)

記憶力のグランドマスター

1967年、茨城県生まれ。大学卒業後、大手通信機器メーカーを経て、学習塾を経営。塾の教材のアイデアを探しているときに「記憶術」に出合い、2013年、記憶力日本選手権大会優勝。その後、4回連続で記憶力日本一になる。同年、世界記憶力選手権ロンドン大会にて、日本人初の「記憶力のグランドマスター」の称号を獲得。近著に、『世界記憶力グランドマスターが教える 脳にまかせる勉強法』(ダイヤモンド社)。

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