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無料と言いつつ請求する「トーゴ流営業術」(トーゴ)

2017年08月03日 公開
2023年05月16日 更新

<連載>世界の「残念な」ビジネスマンたち(24)石澤義裕(デザイナー)

「やけに細長い国」トーゴとは?


これぞアフリカの笑顔。ドレッドヘアーは女性の標準です。

稚内から軽自動車を運転し、38カ国と2年と少々。

坊主頭も、ジミヘンくらいに伸びました。

世界一周を始めた12年前、声高らかにセミリタイアを宣言。その後、口ほどにも身代がないことを知り、以来、こそこそと日本の仕事を続けながら糊口をしのぐ、タビリタイア。

収入の命運を握るのは、メールです。

どんな辺境に雲隠れしていても、チェックを怠りません。

「そのお仕事、承ります!」

返事の速さが、家計の緊迫度。サクッと仕事を終えたらPDFで請求書を送り、振込みは日本の銀行口座で受け取り、現地のATMで現地通貨を下ろします。

遠隔操作で確定申告を済ませ、生真面目にみかじめ料(社会保険)を払い続けるバブル世代です。

ネバー・エンディング・バカンスと自慢しておきながら、その実、コツコツと働き、決して仕事は増えないであろう将来展望。

政府のご意向担当者様、ワーク・ライフ・バランス大賞でもいただけませんかね?

 

「アフリカの笑顔」の正体とは?

定規を持ってして大胆に分割されたアフリカ大陸において、妙に細かく分断された西アフリカ。

なかでも不自然に細長く狭い国、トーゴにいます。

ヨーロッパの3ジャイアン、ドイツ、イギリス、フランスの栄枯盛衰と下克上が織り成した、民族と風土と歴史を考慮しない国土割りです。

トーゴの愛称は、「アフリカの笑顔」。

一瞬視線が絡むだけで恋に陥るような、不良少年たちとハイタッチするような、彼らの笑顔でストレス発散、食欲増進、滋養強壮、人類皆兄弟。

そんな街角を期待して、裏切られました。

微笑みの国タイのように、叱られていても罵倒されていても薄ら笑いを浮かべる生粋の「スマイルゼロ円」じゃないのです。

スマイルの影に隠れた、後出しジャンケン系の営業戦略。世知辛くも胡散臭い笑顔なのです。

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著者紹介

石澤義裕(いしざわ・よしひろ)

デザイナー

1965年、北海道旭川市生まれ。札幌で育ち、東京で大人になる。新宿にてデザイナーとして活動後、2005年4月より夫婦で世界一周中。生活費を稼ぎながら旅を続ける、ワーキング・パッカー。

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