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「個」の力が組織を凌駕する時代の経営論【後編】

2017年11月14日 公開
2022年10月25日 更新

【連載 経営トップの挑戦】第25回 須藤憲司

須藤憲司

 

社長がプレゼンを100回練習する理由

――起業されてから、提供するサービスも自社内の整備もすこぶる順調に成長されてきたように見える御社ですが、何か失敗したことはないのでしょうか?

須藤 失敗は毎週しているので……何をお話しすればいいか(笑)。
たとえば、資金調達のために投資家の人たちに僕がプレゼンをしますよね。それを失敗してしまうと、社員のみんなに申し訳がない。でも、やっぱり失敗することもあります。失敗を減らすために、今でもプレゼンはめちゃくちゃ練習しています。

――社長なのにプレゼンをめちゃくちゃ練習されているのですか?

須藤 もちろんです。大きなプレゼンのときや英語のプレゼンのときなどは、通しでプレゼンする様子を録画して、声の大きさやトーン、緩急や姿勢までチェックしますし、そういった種類のプレゼンでなくても、必ず練習はします。
とくに大事なプレゼンのときは、100回くらい練習しています。たとえ、それが10分のプレゼンでも。明け方まで練習しまくって、そのまま床で寝ていることもありますね(笑)。

――創業当時からプレゼン経験を積まれているので、もう練習しなくても大丈夫ではないのですか?

須藤 練習しなくても大丈夫なんて、ありえません。お笑い芸人さんも、たった数分のコントを、何百回も練習しますよね。話す内容や相手が変わる以上、練習しなくて済む日は来ないと思っています。社長だろうが、練習するのは当たり前。何事も、練習なしに上手になれるはずがないと、僕は思っています。

――最後に、今後の展望をお聞かせください。

須藤 まずは、当社が提供できる仕事の幅を広げようとしています。たとえば今、当社では、サイト改善だけではなく、動画広告の改善なども手掛けています。インターネットのサービスが日に日に増えているため、サービスと人が出会う場も格段に増えている。その接点すべてを改善していきたいという意気込みでやっています。

また、今は越境ECなども浸透してきているので、各国のグロースハッカーの人たちに現地での商品紹介の方法まで考えてもらうなどして、サービスの質を上げていきたいです。現在、40カ国くらいに当社登録のグロースハッカーがいますし、もちろん海外から日本に来た人が日本で登録しているケースもあります。まだまだできることは無限にあると思っています。

 

必然的に達成されるダイバーシティ

昨今、ダイバーシティを標榜し、女性管理職の比率アップなどに腐心する会社・組織は多い。しかし、須藤氏のお話をうかがっていると、特別に意識せずしてダイバーシティが達成されている場所もあるのだということに気づかされる。「新しい働き方」についても、無理矢理ひねり出したり人真似をするのではなく、「世界にはたくさんの“使われていない才能や情熱”がある」という強烈な気づきがプラットフォーム構想につながったことで、自然に達成されている。先進的でユニークな事業というのは、一足とびに出来上がるものではなく、地に足の着いた思考の先に生まれるものなのだと体感できるお話だった。

 

 

                      <写真撮影:山口結子>

著者紹介

須藤憲司(すどう・けんじ)

[株]Kaizen Platform代表取締役

1980年、福島県生まれ。2003年に早稲田大学を卒業後、(株)リクルート入社。マーケティング部門、新規事業開発部門を経て、アドオプティマイゼーション推進室を立ち上げる。(株)リクルートマーケティングパートナーズにてリクルート史上最年少の執行役員を務めたのち、リクルートを退社し、13年3月にKAIZEN platform Inc.を米国で創業。17年7月には本社機能を日本へ移転、社名を(株)Kaizen Platformと改めた。国内での需要増加にともない、事業のさらなる拡充を図る。

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