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「欧米の香り」と「修羅の国」が隣り合わせ!?(南アフリカ)

2018年02月06日 公開
2018年02月07日 更新

<連載>世界の「残念な」ビジネスマンたち(30)石澤義裕(デザイナー)

海外に出ると、なぜか起業がしたくなる!?

最高じゃないですか、ケープタウン。

花丸です。

気に入りました。

いつ壊れるかわからない軽自動車で、再び修羅の大地を彷徨うくらいなら、ここで骨を埋めるのも悪くないです。

ボクらのプチ移住の条件は4つ。ひとつは

・暑過ぎないこと。

南半球は今、夏真っ盛りですが、熱射病で倒れるほど暑くはなく、朝夕は毛布にくるまりたいほどの涼しさ。

2つ目の条件は、

・町が汚くないこと。

窓割れ理論派なので、汚れた町は論外です。わい雑なのは好きだけど。

3つ目に、

・魚介類が食べられること

お店に並んでいるのは、正体不明の怪魚だけど。

そして最後に、

・安い労働力。

これ、重要です。

とかく日本人が海外に住むと、こんなひどいサービスでよくやってんなこのお店……とか、我輩の気配りとおもてなし力があれば最強じゃん、世界制覇も夢じゃない、と思うわけです。

で、暇つぶしに起業したくなりますが、人件費が高いと自分で一から十まで動かなきゃならず、忙しくて気配りなんかできません。

暇つぶしに最高のおもてなしを提供するには、安い労働力が必要なのです。

 

優秀だが人件費は安い。南アの労働者のレベルは高い!

という視線で世界を眺めてみると、中南米の人件費は安いけれど、お金持ちの購買層がいないので商売になりません。

東南アジアも給料は安いけれど、暑すぎるし町が汚い。

そこへいくと、南アフリカは条件が揃ってます。

人口の80%を占める黒人は、安い労働力。

彼らの賃金は、スーパーマーケットのレジで時給160円。

プロフェッショナルなパン職人でも250円ですから、月給で4万円。

家政婦は、ひと月3万円。

アパルトヘイトが廃止されてから23年も経つので、識字率94%以上。

自慢じゃありませんが、英語力は拙者より上です。

しかも物腰が柔らかで、惚れたくなるようなスマイル。サービス業に向いています。

というか、従業員として迎え入れたい感じ。

下手なヨーロッパより接客態度がいいのは、アパルトヘイトの残り香かもしれません。

 

一方、顧客層は賃金格差で儲けまくった白人です。

みなさんプール付きの豪邸に住んでますから、金持ちじゃないとは言わせません。

白人の人口は10%未満ですが、南アフリカはいまだ開発途上国。

貧困層は次代を担う消費者として成長著しく、伸び代がたっぷりあります。

つまり、賃金の安い従業員、お金持ちのお客さん、明るい将来と三拍子揃い踏み。

我が家が死に絶えるまで、この3本の柱でお願いします。

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著者紹介

石澤義裕(いしざわ・よしひろ)

デザイナー

1965年、北海道旭川市生まれ。札幌で育ち、東京で大人になる。新宿にてデザイナーとして活動後、2005年4月より夫婦で世界一周中。生活費を稼ぎながら旅を続ける、ワーキング・パッカー。

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