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情報は「8割捨てる」を原則に!

2018年05月24日 公開
2023年03月16日 更新

理央周(コンサルタント/マーケティングアイズ代表取締役)

アウトプットを意識して情報を集める

ネットの発達により、膨大な情報が溢れている昨今。大量の情報に埋もれてしまい、必要なものを選び出せないという悩みを持つ人は多いかもしれない。「情報の8割はムダ。有益な情報だけをピックアップするためのフィルターを養うべき」と話すのは、マーケティングコンサルタントの理央周氏。ムダな情報を整理するコツを聞いた。(取材・構成=杉山直隆)

 

情報の8割はムダ!上位2割を見分けよう

インターネットの登場によって、情報量が膨大になったといわれます。情報サイトやメールマガジンなど、情報が得られるメディアも格段に増えました。

しかし、そのぶん有益な情報が格段に増えたかというと、そうは思いません。実態は、メディアが細分化していて情報の流通量が増えただけ。たとえば、「見出しは違っても、本文を読んでみると他の記事とほとんど同じ内容が書かれている」といったことも少なくありません。メディアが乱立し、真偽が不確かな情報も増えたようです。

このような玉石混交の情報を何でもかんでも鵜呑みにしたり、ストックしたりしていたら、混乱するだけです。

ビジネスの世界では、よく「80対20の法則」が言われます。「会社の成果の8割は、優秀な2割の社員によってもたらされている」というように、全体の数字の大部分は一部の要素から生み出されていることを示す法則ですが、仕事と情報の関係も同じことがいえます。「仕事の成果の8割は、2割の情報から生まれる」ということです。つまり、8割は不要な情報だというわけです。

そんな不要な情報をじっくり読んだり、ストックしたりするのは、時間のムダです。情報収集を仕事の成果に結びつけたいなら、目の前の情報が、上位二割の必要な情報なのか、残り八割の不要な情報なのかを瞬時に見分けるフィルターを持つことが不可欠です。

 

単なる「知る情報」を「ウィズダム」へ

私たちが集める情報は、財務データや市場シェアなどの、数値を使って表せる「データ」と、メディアや口コミ、仕事の現場などで得られる「事実」を元にした「インフォメーション」の二つに大別できます。

これらの「知る情報」を集めただけでは、仕事の成果には結びつきません。これらを自分の頭で解釈・分析し、「考える情報」を生み出すことが必要です。

知る情報の背景にある法則やポイントなどの「インテリジェンス」を見つけ出し、それを元に「ウィズダム」、実際の行動に落とし込みます。そうすることで、あなただけの仕事の知恵が生まれます。

たとえば、パン店が「ネット通販で売っているラスクが、毎週水曜日になるとすごく売れる」「水曜日はネット通販モールの売上ランキング発表がある」という情報があるとしましょう。これを見て、「水曜日はランキングを確認した客が来る。水曜日に販促施策を打てば売上が伸びるかも」と考えるのがインテリジェンス。「ラスクと他の商品を一緒に買うと送料無料に」というのがウィズダムです。

「考える情報」を生み出すには、「知る情報」を元に、考えに考え抜くことが必要ですが、すべての情報について考えていたら時間が足りません。数多くの「知る情報」のなかから「ヒントになる」と思える情報を見つけることが重要です。そのためにも、情報を仕分けるフィルターが必要というわけです。

 

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「名著」を読んでおけば情報収集はラクになる!? >

著者紹介

理央周(りおう・めぐる)

マーケティングアイズ〔株〕代表取締役

本名、児玉洋典。1962年生まれ。静岡大学人文学部経済学科卒業。大手自動車部品メーカー、フィリップモリスなどを経て、米国インディアナ大学にてMBA取得。アマゾン、マスターカードなどでマーケティング・マネジャーを歴任。2010年に起業し翌年法人化。13年から17年まで、関西学院大学専門職大学院経営戦略研究科で准教授として教鞭をとる。『8割捨てる!情報術』(日本経済新聞出版社)など、著書多数。

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