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余計な仕事を引き受けない! 「NO」と言う技術

2018年04月16日 公開
2023年03月23日 更新

能町光香(リンク代表取締役)

最強の「断り方」

断って嫌われたくない――。そんな思いから、多くの仕事や誘いを引き受けてしまい、結局、自分のやるべき仕事に集中できなかったり、自分の時間を確保できなかったりする人は多いはず。だが、そんな働き方は決して長続きしない。「プロとして仕事をするなら、断ることも重要」と話すのは、ビジネスコミュニケーションの第一人者である能町光香氏。断ることに苦手意識を持つ方に向け、角を立てずに仕事や誘いを断る方法についてうかがった。

 

「自分を大切にしない」からNOと言えない

 人に頼られるまま仕事を引き受けたり、誘われるまま飲み会に参加する──。本当は断りたいのに断れずに相手に合わせてしまう。そんな人に共通する特徴は、他人を基準にした生き方をしていること。もっと言えば、自分を大切にしていないのです。その結果、自分の仕事や時間を犠牲にしてまで、相手の事情を優先してしまいます。

 自分の価値基準に従って物事を判断していれば、やるべきことがハッキリしているため、不本意な要求をキッパリと断ることができるはず。一流のリーダーは、むやみに仕事を引き受けたり、飲み会に参加したりすることはありません。

 これに加え、「相手の気持ちを慮る」「相手の気持ちを大切にする」といった日本人独特の優しさも、ハッキリ断ることへの苦手意識を生み出している原因かもしれません。「NO」と言えずに受け入れてしまう背景には、「何事も穏便に済ませたい」と考える日本人ならではの感覚が影響しているとも言えます。

 一方、欧米の人たちが臆せず「NO」と言えるのは、日本社会に比べて自分を尊ぶ文化であるからです。

 以前、私が留学していたオーストラリアでは、先生が生徒に対して「私はあなたたちを誇りに思う」という言葉をよくかけていました。私がかつて秘書として働いていた外資系企業でも、外国人上司が部下に対して同じ言葉を使っていました。普段からこのような言葉をかけられていれば、人の顔色をうかがうような生き方はしなくなります。

 そもそも、海外では立場に関係なく相手の仕事を尊重する姿勢があります。たとえば、秘書と役員の間柄で言えば、立場は違っても、互いにプロフェッショナルとして仕事をしているという意味では対等です。互いに一流の仕事をまっとうするために、プロフェッショナルとして不本意な要求を断ることは当然。そのような認識があるため、断りやすいのです。

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著者紹介

能町光香(のうまち・みつか)

〔株〕リンク代表取締役/日本秘書アカデミー代表/人材育成コンサルタント

青山学院大学、The University of Queensland大学院卒業。京都大学経営管理大学院(MBA)在学中。留学後、10年間にわたり、外資系企業数社にて、経営層を補佐するエグゼクティブ・アシスタント(社長・重役秘書)を務めたのち、独立。現在は、企業研修や講演、執筆活動を行なう。。21万部のベストセラー『誰からも「気がきく」と言われる45の習慣』(クロスメディア・パブリッシング)、『なぜ一流のリーダーは東京-大阪間を飛行機で移動するのか』(扶桑社新書)など著書多数。

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