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確実に契約に結びつく営業マンの心理テクニック6 

2018年04月18日 公開
2023年03月23日 更新

菊原智明(営業コンサルタント)

 

「クロージング」で役立つ心理テクニック

クロージング1
迷いや不安を感じていたら「皆と同じ」だと安心させる

 お客様はいざ契約を前にすると、「これで本当に大丈夫だろうか」と迷いや不安を感じるものです。ここでしっかりフォローしないと、不安になったお客様が他社にも見積もりを依頼したりして、競合を招き入れる結果になりかねません。実際、私もそういう失敗をしました。お客様の迷いや不安を取り除き、背中を押して契約に結びつけるには、「他のお客様が満足している例」を提示するのが効果的です。「〇〇さんにお願いして本当に良かったです」「アフターフォローがしっかりしていて安心です」など、生の声を紹介することで、「他の人もこれだけ満足しているのだから安心だろう」と思ってもらえる確率が高くなります。

 他の人も自分と同じ考えを持ち、同じ行動をするだろうと思うことを「フォールス・コンセンサス効果」と言います。自分の行動が皆と同じであれば、その行動はうまくいくと考え、安心感を得られるということです。契約前に心が揺れ動くお客様に対しては、「他の人も満足しているのなら安心」と思ってもらえる資料を提示して、契約までしっかりと導きましょう。

 

クロージング2
「残りあと○個ですよ」希少性を示して価値を高める

 決断を迷っているお客様の背中を押すもう一つの有効な方法は、「残り少ないですよ」「あと〇個ですよ」と数量限定であることをほのめかす手法です。「残りあと少し」と聞けば、「ここで決めないと損だ」という気持ちになり、必要がないものでも欲しくなってしまうものです。このような心理の裏にあるのは、「希少性の原理」です。希少性の原理とは、入手が困難なものほど価値があるように思ってしまうことで、商品の数が減るほど希少性は高くなります。

 この原理は、購入前のクロージングだけでなく、資料請求や見学会、体験会などに申し込んでもらう際にも効果を発揮します。たとえば「お役に立つ資料が残り12部になりました。ご請求はお早めに」とか、「見学会は残り3枠です。最後のチャンスをお見逃しなく」のように限定感を出すことで、資料や見学会の価値が高まり、申し込みが増えることがあります。クロージングの際には、ただ単に「決めてください」と言うよりも、残り少なくなったことを伝えてみてください。希少性の原理によってお客様の買いたい気持ちが高まります。

≪『THE21』2018年4月号より≫
≪取材・構成:前田はるみ≫

著者紹介

菊原智明(きくはら・ともあき)

営業コンサルタント/営業サポート・コンサルティング㈱代表取締役

1972年、群馬県生まれ。大学卒業後、トヨタホームに入社。クビ寸前のダメ営業マン時代を経て、顧客へのアプローチ方法を変えたことをきっかけに4年連続トップの営業マンに。2006年に独立し、現在は、企業研修や経営者や営業マン向けのセミナーなどを行なう。著書に、『<完全版>トップ営業マンが使っている買わせる営業心理術』(明日香出版社)など。

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